僕に踏まれた町と僕が踏まれた町 (集英社文庫)
作者 中島 らも
価格 460 円
出版社名 集英社
出版年月 1997/08
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■読者の評価     おすすめ度平均

ロックな青春記       おすすめ度
著者の人となりを垣間見れるようなコミカルなエッセイ集。
同じ少年・青年期を過ごした同級生が羨ましくなるくらい破天荒な日々が詰まった自伝書。


中島らもの視点の原点       おすすめ度
古くは、漱石や太宰や中也。最近では村上春樹愛好者をハルキストと言うように。
ある種の人間にとって、著作を読む前と読んだ後とで、人生観が丸で変わってしまう位の
激烈な体験をさせてくれる作家が居る。僕にとっては、中島らも。

存在が劇薬、痺れっぱなしだ。この本には、如何にして彼が、
中島らも的な思考や生き方に辿り着いたかが書かれてある。

難関校として有名な灘校に優秀な成績で入学。したものの。
中学生でシュールレアリズムに傾倒、書道の時間テーマ無視した『自動筆記』
(内容の余りのアホらしさに爆笑)をやらかし、親呼び出され。

高校時代、授業サボって校舎裏で酒盛りしてる時に
三島由紀夫の死のニュース聴いて呆然としたり。
と、周りや世界から、堕ち零れていく様子が描かれていく。

特に印象的だったのが浪人時代の仲間の自殺に触れている所。
絞り出すように『生きて、アル中になって、醜く老いていって、
それでもまんざらでもない瞬間を額に入れてときどき眺めたりして、
そうやって生きていればよかったのに、と思う。』って文章に
刻む事の出来る姿勢の美しさ。キッパリと覚悟ある立ち方で書けるからこそ、中島らも。

圧倒的にリアルに響いて来るんだよなぁ。コミカルに、シニカルに世界を描く
らもさんの視点の原点が詰まっています。是非一度読んでみて下さい!!。


うらやましい青春       おすすめ度
 中島らもは小説、随筆、コピー、劇団、音楽と本当に多才な人だったんですね。多才なだけでなく飲酒など自分の弱さも包み隠さず書いてくれてるので余計親しみを感じます。
 新宿や渋谷では街が巨大すぎて10代の若者にはまったく歯が立たないけど、三宮だと徘徊しながら自分の居心地のいい場所を探せそうです。踏んだり踏まれたりするにはちょうどいいサイズなのかもわかりません。
 金がないと書かれていますがそんなことはないと思います。ジャズ喫茶に映画、ウイスキーにギターと、カルチャーに浸った高校生活を送っているのは歯科医の息子だからできたのだろうと加古川で田んぼ道を往復するだけの高校時代を送ってしまった身としてはやっかみの一つも言いたくなります。


試験に落ちる夢       おすすめ度
 灘高出身の中島らもだが,神戸大学を受験しても白紙答案で落ち,浪人生となった。≪あまりに不安な日々だった≫ために,浪人時代のことはさっぱり覚えていないという。
 ≪意識がこのころの不安感をかなり奥深くに封じ込めた証拠≫として,試験の夢を見てうなされるという。

≪会社に行って働きながら,週に何回かは学校に通っているのだ。それが試験に落ちると,会社員でいることもできなくなってしまう,という状況なのである。
「卒業できない……卒業できない!」
 あせりが頂点に達したところでいつも目が覚める。≫(200頁)

 実は,私も全く同じ夢を見てうなされていた(最近は少なくなったが)。
 「落ちこぼれ」とバンカラを気取っていても,こういう夢でうなされていたというのは,間違いなく小心者である。その小心者の中島らもがああやって人々に「楽しみ」を提供するサービスに徹してきたというのは……やっぱり酒に逃避しなければやっていけない,つらい状況だったのだろうかと,今更ながらに思った。


作家の自己批評能力って・・・       おすすめ度
中島らもの初期ものはエッセイ、小説、TV全て好きなのですがこの著作にはマイナスがあります。灘出身をもっとも喧伝し利用したのは彼と村上ファンドの某氏だと思いますが、受験体制批判をする自分に矛盾を感じなかったのでしょうか?同じく、筒井康隆の演技を批判するなら、自己の作曲演奏技術(作詞は○としても)を自己批判したほうがいいと思うのは私だけでしょうか?この甘さは優しさとは別質のものと思います。晩年の没落振りをかっこいいと思う人からは共感して頂けない意見かもしれませんね。ただ、この作品は面白いと思います。