地下街の雨 (集英社文庫)
作者 宮部 みゆき
価格 540 円
出版社名 集英社
出版年月 1998/10
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■読者の評価     おすすめ度平均

個人的に感慨深いです。       おすすめ度
印象に残ったのは、『地下街の雨』、『勝ち逃げ』、『ムクロバラ』、『さよなら、キリハラさん』の4作品です。
『地下街の雨』は、人間の裏切りについて描かれた作品ですが、裏切りもなんだか良い物なのかなあとも思える作品でした。額面は裏切りでも、人間のちょっと大切な配慮が良く描かれていて、不思議な感慨にとらわれました。
『勝ち逃げ』は、完璧な叔母の完璧な人生について描かれていました。なんだか人間味の薄い可哀想な人の人生のようで、でも人生の勝者という微妙な機微が強く印象に残りました。
『ムクロバラ』は、人間性も仕事での地位も兼ね備えた人間が、同じくほんのはずみで事件の加害者と成りはてた人間のカウンセリングをしているうちに、同じく逢魔が時に遭遇し、認めたくない現実に出会い、それを自分にとって良い認識に持っていこうとする葛藤がもの悲しく皮肉な和音を奏でていました。
『さよなら、キリハラさん』は、側にいるのに、孤独を創り出す、社会の闇から、狂っているはずだけど、本当は正しい人間性を、同じ孤独をもった他人との交流によって導き出す過程がなんだか有り難くて切ない感情に出会いました。


短編のよさ       おすすめ度
宮部みゆきさんのよさは社会で身近にある問題を題材にしていること。『火車』のようなカード社会や殺人はあまりない短編集でしたが、現代にありがちな問題を考えさせられる小説でした。ミステリーだけではなく、疲れない短編集です。身近な出来事で考えさせられることもあるのでは?


前はもっといい短編書いてなかったかな       おすすめ度
宮部みゆきって、以前(デビュー当時)はもっといい短編を書いていたような気がするんだけどなぁ。
こっちのハードルが高いのか、宮部みゆきのレベルが下がったのか。
お薦めは「地下街の雨」ぐらい。
ただし、これって、後のあの作品につながるのかなぁっていうのが結構多いような気がする。


世にも奇妙なモノガタリ。       おすすめ度
種と仕掛けのちゃんとあるものから、ぞくっとしてしまうエンディングのもの、
また、うまいなあ〜〜と宮部さんの長編にみられるように人間の本質をうまく
描いているものまであり、なかなか楽しめる短編集。


短編は短編だけど       おすすめ度
結構期待していただけにやや期待はずれかな。この人の短編は「ステップファザー・ステップ」や「鳩笛草」など秀逸な作品が多くそれらと比べると?だった。何でイマイチなんだろうと思っていたらわかった。ページが少なすぎるのだ。全体として20P〜50Pの間の作品集なのでほとんどキャラの掘り下げがなされていない。ショートショートを読んでいる感じであっさり読み終わってしまった。それでも表題作「地下街の雨」はハラハラしながらも読後とてもすっきりとした気分になった。もしかしたら表題作が最初に来てしまったから後の作品に満足できなかったのかも。