リアルワールド
作者 桐野 夏生
価格 1,470 円
出版社名 集英社
出版年月 2003/02
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???山中十四子、通称トシ。クールなテラウチと、エキセントリックなユウザン、育ちのよいキラリンという3人の友人とともに、残り少なくなった高校生活を送っている。夏休みのある日、隣家の同い年の少年が母親を撲殺した。彼がトシの携帯電話と自転車を盗んで逃亡したことから、4人の女子高生は事件に巻き込まれてしまう。警察や大人たちに真実を話せず、個々に抱える悩みを逃亡少年に照らす彼女たち。「ヒトから見られる自分」と「本当の自分」のはざまで揺れ動く思春期の心が、章ごとに語り部を変えるスタイルでつづられている。

???桐野作品は、リアルな女性描写に定評がある。探偵「村野ミロ」しかり、『OUT』の主婦連しかり。そこには世の男性陣の幻想であろう「優しく弱い」姿はなく、図太くしたたかに生きる女性像が描かれている。本書もまた女性の描写がおもしろい。といっても、従来作品にある「大人の女」とは異なり、ここに登場するのは女子高校生4人組である。大人のように1人で歩むことはできず、子どものように無邪気になれるわけでもない彼女たち。油断すると足元をすくわれそうな世知辛い世の中から、懸命に自分を守りながら生きている。ある者は目立たぬようにと細心の注意を払い、ある者はバカなふりをして。これが「イマドキの女子高生」の真の姿なのかもしれない。(冷水修子)



■読者の評価     おすすめ度平均

リアル       おすすめ度
まるで毎週サスペンスドラマを放送するように次々と新たな殺人事件のニュースを見聞きする。
実際におきた悲惨な事件なのだけど、「怖いわね」「可哀想ね」
などと話してもどこかドラマと同じ感覚で別世界の出来事と思ってしまう。

しかし、事件のおきた地域がものすごく近所だったり知っている場所だと
ニュースがとても恐ろしいものに感じてしまう。
どんなに凶悪な世界的殺人テロよりも、知っている場所でおきた事件は
頭にこびりついて容易にはなれない。現実世界のものだと痛感してしまうのだ。
遠いところで起きた事件はあれこれ事件について推測し、客観的に見るが
身近な場所のニュースは「自分が被害者ならこうした」
「自分が加害者の立場ならあのときこう考えるはずだ」と自分自身について考える。

この本でも、身近に起きた事件を通じて少女達は「自分は・・・」と考えている。


自己と他者       おすすめ度
殺人事件をきっかけに4人の女子高生グループの
人間関係が変容していく様を、
それぞれの視点で描いた実に興味深い作品。

自分と相手の微妙な距離感。
自分だけがという勝手な優越感や劣等感。
そんな中で友達関係を築きながら、
この事件によってその友人関係および自分とはどんな人間なのか
くっきりとわかってきて、
それぞれの結末を迎えることになる。

ほんとおもしろい作品。
自己と他者を知るのによい作品です。


現実か?       おすすめ度
現実世界って堅いようで脆いのかもしれない。そんな趣のある小説。

時間は地繋がりで広がっているのに、
一歩横に逸れるとそこは違う世界。

高校生たちが経験する不思議な時間。


衝撃的なラスト       おすすめ度
隣家の少年が母親を撲殺して逃亡してしまう。少年の逃亡に係わる4人の女子高生たち。 最初はただのゲーム感覚だったのが最後に取り返しのつかないことになってしまう・・・ おもしろい作品です。各章が登場人物の視点で書かれているのが、よかったです。


女子高生たちの第一歩目の自己確立の物語 大人の色気に欠けるかな、と・・       おすすめ度
「ホリニンナ」という偽名を使い、現代の消費情報化社会に子供っぽい厭世観を抱きつつ生きている「トシちゃん」と個性ある3人の女友達が隣の家で母親を惨殺した少年の逃避行を興味半分で追いかける、という筋書き。主人公と友達と逃避行中の少年が交互に語る、という形式で物語が進む。最終的に「トシちゃん」がホリニンナ、なんて仮名を使わないでリアルワールドを受け止めて人生に誠実に生きていこうと決意するまでを書く。著者の桐野氏の年代を考えると、21世紀の青少年の心象にここまで迫った書き込みは良い出来だと思うし、場面がどんどん変わるので読みやすいが、著者の他作品と比べてしまうと(グロテスク等)少し成熟した大人の葛藤に欠けるかなと思う作品。桐野氏の作品のライトなテイストが好きならおすすめ。