汝ふたたび故郷へ帰れず (小学館文庫)
作者 飯嶋 和一
価格 620 円
出版社名 小学館
出版年月 2003/04
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■読者の評価     おすすめ度平均

大人にとっての本当の小説       おすすめ度
最近、エンターテイメントの小説は
それなりにレベルがあがっている気がします。

飽きさせないようにきちんと考えられた構成、
ある程度のリアルな状況&登場人物設定で
楽しい時間が過ごせる、それも小説の価値です。

でも、この小説にはそれを超えた価値があります。

やや大げさに聞こえるかもしれませんが、
生きていく力をもらえるような
そんな気のする小説です。

個人的には、飯島和一の代表作、
始祖鳥記と同じくらい好きな小説です。




小説の力を感じられる傑作       おすすめ度
初めての飯嶋和一作品でした。
濃い人物描写と昭和の匂い、そして登場人物の息遣いすら感じられる圧倒的な描写。
この小説は「はじめの一歩」という傑作ボクシング漫画に確実に影響を与えています。
「フリッカージャブ」「チョッピングライト」というパンチをご存知の方なら
読んで損は無いでしょう。間違いなく、傑作です。
これほどのボクシング小説は今後、日本では出てこないのでは無いでしょうか。

カマーン!ハイデジャロウ、カマーン!


試合描写と、空気感。       おすすめ度
おもしろいけど、それほど共感できなかったなぁ。。
個人的には、『』が好きではない。自分とその他の世界の空気感を出す演出だとしても。
試合の描写はすごい。
アル中前と、復帰後、減量中の、心の感じがとても上手に表現されている。
文章うまいです。


一緒に戦った気分       おすすめ度
圧倒的なスピード感を持った小説です。ボクシングを題材に小説を描いた本ははじめて読みましたが、減量の厳しさや試合前の緊張感や恐怖感がビンビン伝わってきます。そして実際の試合の場面ではものすごいスピード感も体感できます。いままでこんなに臨場感のある小説を読んだことはありませんでした。著者の本は「雷電本紀」と「始祖鳥記」を読みましたが、本書はこれら2冊と全く違うタッチで書かれています。とても同一人物の小説とは思えません。飯嶋氏の懐の深さを改めて感じました。


男児志を立てて郷関を出づ       おすすめ度
表題作の「汝ふたたび故郷へ帰れず」の他、「スピリチュアル・ペイン」「プロミストランド」が収録されている。
どの作品にも共通しているテーマは生まれ故郷。
自分が生まれ育った土地と、そこに住む人々との心温まる交流が描かれている。
故郷とは人間にとってどういう場所なのか?
生まれ育った場所という地理的な意味を超越した、故郷の大切さを教えてくれる。

特に「汝ふたたび故郷へ帰れず」で、主人公のプロボクサーが、夢破れて挫折して故郷に帰ってくるが、故郷の人達との交流により再生し、カムバックの道を選ぶ過程は感動した。

人間形成において、幼少時の環境というのは非常に重要なファクターだと認識した。
私も都会で一人暮らしをしているが、帰るべき場所のある事の幸せを実感した。
故郷を離れて頑張っている人達に是非読んで欲しい作品だ。