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■読者の評価
おすすめ度平均
大人っぽい時代小説 おすすめ度
藤沢周平というと最近の映像化ブームで「夫婦愛」「庶民派」みたいな印象がありますが、実際には時代小説の短編などでも文章がとても上手くて、
軽妙洒脱、そして穏やかな主張はあっても、それが決して押し付けがましくない点も美点だと思われます。
数年前、最初にこれを読んだ時、藤沢さんの時代小説は初めてで、上巻は私が有名武将しか知らない為に少し苦労しましたが(日本史オンチだったので;)中盤以降はどんどん面白くなってきます。
さりげない言葉や文章での心情描写はさすがという他ありません。
藤沢作品なのであからさまに敵対する武将を悪く書いたり、上杉を贔屓したりという描写は少ないのですが、その分読み手としては想像力を働かせる余地があるという印象です。
この作品を読むと「義」を掲げながらも一面では冷静沈着な知将だった直江兼続、謙信の精神をそのまま受け継いだ上杉景勝贔屓になりますね。
兼続を「いい人」すぎる人に描写していないのに、彼の生き方には感銘を受けます。
景勝も男が惚れる武将だったことがわかります。
そして、この時代は草(忍者)を使うのが当たり前だったこともわかります。
三十石に減らされてからの話もこの文章で読みたかった気はしますが、繰り返し読みたくなる余韻と深みのある作品です。
「直江と石田が密約を交わしたという証拠はない」とした上で書かれているのにも好感が持てました。戦国武将の人間性を描きながらも、捏造だらけという印象はありません。
兼続にまつわる女性達の描写がほぼないのが原因かもしれませんが、これが大河の原作がこれだったらなあ…と残念になります。
軽妙洒脱、そして穏やかな主張はあっても、それが決して押し付けがましくない点も美点だと思われます。
数年前、最初にこれを読んだ時、藤沢さんの時代小説は初めてで、上巻は私が有名武将しか知らない為に少し苦労しましたが(日本史オンチだったので;)中盤以降はどんどん面白くなってきます。
さりげない言葉や文章での心情描写はさすがという他ありません。
藤沢作品なのであからさまに敵対する武将を悪く書いたり、上杉を贔屓したりという描写は少ないのですが、その分読み手としては想像力を働かせる余地があるという印象です。
この作品を読むと「義」を掲げながらも一面では冷静沈着な知将だった直江兼続、謙信の精神をそのまま受け継いだ上杉景勝贔屓になりますね。
兼続を「いい人」すぎる人に描写していないのに、彼の生き方には感銘を受けます。
景勝も男が惚れる武将だったことがわかります。
そして、この時代は草(忍者)を使うのが当たり前だったこともわかります。
三十石に減らされてからの話もこの文章で読みたかった気はしますが、繰り返し読みたくなる余韻と深みのある作品です。
「直江と石田が密約を交わしたという証拠はない」とした上で書かれているのにも好感が持てました。戦国武将の人間性を描きながらも、捏造だらけという印象はありません。
兼続にまつわる女性達の描写がほぼないのが原因かもしれませんが、これが大河の原作がこれだったらなあ…と残念になります。
関ヶ原 敗者の視点 おすすめ度
何時の世も、どの国も歴史は「勝者」からの視点で語られてきた。
敗者は悪しざまに汚名をそそがれ、滅び散ってゆく。
本書は関ヶ原における「敗者」である上杉影勝とその参謀の直江兼続を中心題材
とした歴史小説である。史実を元にした歴史小説だが堅苦しさは全くなく、
登場人物は皆、藤沢周平特有の人間味の溢れた魅力のある人物像で描かれている。
又、史実の描写とフィクションであろう場面の描写のバランスは絶妙で時代小説
としての面白さも十分に堪能できる。
豊臣政権下、影勝と兼続が「謙信の家」の誇りを胸に、時勢を冷静に見つめ、
同盟国として待遇した秀吉に義を通しながらも、時に知略と謀略を駆使して
一国を存続・拡大していく駆け引きなどは戦国時代ならではのスリルに
満ちあふれている。
秀吉没後、我がもの顔で天下掌握に向けて動き出す家康に名家上杉は悠然と立ち向かう。
ことに、あの有名な「直江状」を突き付ける場面などはこの上なく痛快である。
関ヶ原において上杉は結果的に「敗者」となるが、しかし、敗者には敗者のどうしても
譲れない事情と意地があり、それがこの物語の終着点になっている。
敗者の美というべきか不思議ながら美しい余韻が残った。
そして、徳川幕府によって会津120万石から米沢30万石に減封された上杉の物語りは
藤沢周平の遺作となる「漆の実のみのる国」へ継承される。
敗者は悪しざまに汚名をそそがれ、滅び散ってゆく。
本書は関ヶ原における「敗者」である上杉影勝とその参謀の直江兼続を中心題材
とした歴史小説である。史実を元にした歴史小説だが堅苦しさは全くなく、
登場人物は皆、藤沢周平特有の人間味の溢れた魅力のある人物像で描かれている。
又、史実の描写とフィクションであろう場面の描写のバランスは絶妙で時代小説
としての面白さも十分に堪能できる。
豊臣政権下、影勝と兼続が「謙信の家」の誇りを胸に、時勢を冷静に見つめ、
同盟国として待遇した秀吉に義を通しながらも、時に知略と謀略を駆使して
一国を存続・拡大していく駆け引きなどは戦国時代ならではのスリルに
満ちあふれている。
秀吉没後、我がもの顔で天下掌握に向けて動き出す家康に名家上杉は悠然と立ち向かう。
ことに、あの有名な「直江状」を突き付ける場面などはこの上なく痛快である。
関ヶ原において上杉は結果的に「敗者」となるが、しかし、敗者には敗者のどうしても
譲れない事情と意地があり、それがこの物語の終着点になっている。
敗者の美というべきか不思議ながら美しい余韻が残った。
そして、徳川幕府によって会津120万石から米沢30万石に減封された上杉の物語りは
藤沢周平の遺作となる「漆の実のみのる国」へ継承される。
藤沢の描く戦国時代 おすすめ度
関ヶ原の勝敗はご存知の通りですが、
私は何故上杉が南下して来なかったのかというのはあまり深く考えたことがありませんでした。
その背景には上杉家の当主としての景勝の気持ちと、
三成という友人を持ち、尚且つ上杉の直参であるという兼続の気持ち、
二つの思いが交錯して胸が詰まるような気分になりました。
江戸期の人情モノを手がけることが多い藤沢周平作品の中でも異色ですが、ラストはやはり彼ならではです。
私は何故上杉が南下して来なかったのかというのはあまり深く考えたことがありませんでした。
その背景には上杉家の当主としての景勝の気持ちと、
三成という友人を持ち、尚且つ上杉の直参であるという兼続の気持ち、
二つの思いが交錯して胸が詰まるような気分になりました。
江戸期の人情モノを手がけることが多い藤沢周平作品の中でも異色ですが、ラストはやはり彼ならではです。
上巻の主人公 おすすめ度
この上巻の主人公はじつは兼続や上杉ではない。豊臣秀吉である。(とかってに断定してしまいます^_^;)ここには、吉川英治の英雄秀吉も、司馬遼太郎の天才秀吉もいない。藤沢周平はこの時代を描くのに、その中心人物を描かずに、その周辺諸国の参謀の目を通して描いた。そこには「稀有の器量人」としての秀吉と同時に、天下を自分のものにするためには、あらゆる権謀術策を自然と行える残酷な政治家としての秀吉を描いて見せている。さらにはその兼続自体も、一人の戦国大名の幹部に過ぎないことを知らせるような仕掛けもある。 上巻で秀吉は死ぬ。やがて時代は関が原に向かって行くであろう。戦国の激動の時代を生きるということはどういうことか。藤沢周平と共に眺めていきたい。
逆転 おすすめ度
徳川の世に決まるまでには、実は幾つかの逆転の可能性があった。最も重要人物であった上杉景勝、直江山城守のお話。内容はかなり史実に則っているが、独自の付加シナリオが藤沢周平調で哀切感を醸し出している。

