いつか王子駅で (新潮文庫)
作者 堀江 敏幸
価格 380 円
出版社名 新潮社
出版年月 2006/08
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■読者の評価     おすすめ度平均

懐かしさのする本       おすすめ度
都電沿線の大学に通っていたので王子は想い出のある駅です。なんとなく風景を思い出しながら読むことができました。ただ、日頃、ノンフィクションばかり読んでいるせいか、一つの文がやたら長い文体が多くてなじめませんでした。


偶然出会った作品       おすすめ度
この著者の作品はどれも叙景的で流麗で、読んでいて爽やかな気分にさせてくれます。近頃では珍しい、純文学的な薫りがする作品です。
星4つなのは終わり方に特徴があるからです。ネタバレになる危険性があるので詳しくは書きませんが、明確な答えを求める人にはすっきりしない作品になるかもしれません。


ゆるやかでいて、美しい。       おすすめ度
派手な修飾語があるわけでもなく、やたらと文体をこねくりまわしているわけでもないのに、堀江氏の書く文章には静かな美しさ、抑制された故の日本語の輝きがある。センテンスの長さには始め読みづらさを覚えたけど、焦らずじっくりと読み込むと、柔らかに響く文章が、心地よい。
最近では派手で風変わりな文学作品も増えてるが、日本語本来の美しさをこれ程簡素かつ丁寧に書く人は久しぶり。
本当の意味での魂の清浄化は、こういった作品によって得られる。
なにげない、幸せ。


『トムコビキ』にやられます!       おすすめ度
とある昔かたぎの職人さんとの繋がり(あるいは不在からくる想い)を軸に、穏やかな川の流れに反射して光る様な、日常におけるささやかだけれど心の何処かに触るモノゴトを写し撮った小説です。

以前読んだ「熊の敷石」と似た非常に気持ちの良い、どこまでも広がって行く文章です。

計算がされていないように読めてしまいますが、恐らく緻密に計算されているであろう文章はとても心地良く余韻も深いです!深く計算してあるにも係わらず読んでいる時はその作者の計算を臭わせない文章が私は大好きです、とても上品に感じます。この気持ち良さは金井 美恵子さんにも感じる気持ち良さです。

短くともその魅力は深く余韻は長いそんな小説です。

『トムコビキ』にはみなさんもやられるはず!

そしてあの白い馬にはぐっときました。


なつかしい感覚です。       おすすめ度
なつかしいものを感じたい人、
また、特に王子在住の人ならひときわ懐かしく思えるストーリーです。
確かに特に盛り上がったり、変に重くなったりする物語ではなく、
主人公が暮らす穏やかな日常に、主人公が好きな競馬の話がうまく絡み合っています。
「いつか王子駅で」のタイトルに何か惹かれたものがあったら、
読んでみて損はありません。
ちなみに本書中に出てくる都電の坂は、
滝野川から飛鳥山に沿って、王子駅へと下る緩やかな右カーブ。
音無親水公園があり、静かで雰囲気の良い散歩スポットです。