ビート―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)
作者 今野 敏
価格 780 円
出版社名 新潮社
出版年月 2008/04
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■読者の評価     おすすめ度平均

バイプレーヤーの魅力       おすすめ度
樋口顕シリーズの第3作です。作者のあとがきにもあるように物語に深みと厚みのある力作です。3作の中では一番練れた上質な作品に仕上がっています。樋口顕の冷静でしかも人間味のある対処法には感心させられますが、この作品ではヒップホップに人生をかけている藤代タエというバイプレーヤーが非常に魅力的に描かれています。物事にまっすぐに向き合う素直さと真摯な姿勢に惹かれました。島崎英次に対するさりげない言葉に作者の思いがこもっているように思えます。「信じているから」と言うタエの言葉に英次は救われます。「大切なものがある人は自殺しない」と言う言葉からも作者のメッセージが伝わってきます。彼女の登場で物語りは彩を添えながら、意外な方向に展開していきます、人を職業や好きなもので十羽一からげにしてしまうことの危うさに気づかされた気がします。今年は連続テレビ小説の「瞳」でもヒップホップが取り上げられ、ダンスの魅力を知ることができました。先入観にとらわれず、大切なものを見つけて、真直ぐに生きて行きたいものです。この作品は家族小説、社会小説の傑作です。多くの若い人や、人生に疲れた人にも(笑)是非読んでもらいたいと思います。


二人の息子       おすすめ度
樋口顕が主人公の第三弾。
今度は警察仲間の家族が容疑者に浮上。
息子を犯人として疑う刑事の葛藤を描く。
前作にも登場した氏家の存在がいいスパイスとして効いている。
激しいアクションやハラハラするような警察ものとは違うが、
警察という職場や家庭での心の揺れをうまくあらわしたよい作品。


「自分に自信のない」がゆえに名探偵な樋口顕は、日本人型名探偵?       おすすめ度
「警視庁強行犯係・樋口顕」シリーズ第三作。
本シリーズのファンには先刻ご承知の話ではあるが、「自分に自信のないヒーロー」という主人公・樋口顕の造形がとてもよい。

自分に自信がないから慎重に行動し、周りの気持ちを忖度してしまう気弱さが緻密な観察眼となり、
それが真実にたどりつく手がかりとなるという樋口顕のスタイルは、実に「日本人的な」名探偵なのではないかと思う。
独自性や個性を抑えることで、名探偵となりうるという逆説は、しかし十分に説得的だ。

そういう逆説的な主人公の能力が今回も遺憾なく発揮される。
あやうく惨劇の寸前まで行っていた同僚の悲劇を防ぐのは、まさに樋口顕の繊細な「気配り」による。

なお、そういう「日本人型名探偵」樋口顕は実に「普通のおじさん」であり、それゆえの天然なユーモアを醸し出す。
読後感の爽やかさとともに、「おじさんの天然ボケ」も楽しいです。
文句なしのオススメ。


家族と若者文化への問いかけが込められています       おすすめ度
 警視庁強行犯係・樋口顕シリーズの第三作です。読み始めるとなかなか主人公が
登場しないので、「あれ、まちがって買ってしまったか?」と不安になってきます。
100頁を過ぎたところでやっと登場したので、ほっとしました。しかし、導入の
100頁は重要な部分ですので辛抱してお読み下さい。

 今野敏氏は私より年長でありながら積極的に若者たちに接し、読むごとにおじさ
んとして若者文化を勉強させていただいています。彼の若者ウォッチは第三者的で
なく本当に彼らと触れ合った皮膚感覚を作品に反映させているので、確かな情報源
として好感を持って読んでいます。

 樋口顕シリーズでは現代の家族のあり方と若者文化を、否定的でなく前向きに
考察している点に関心を持って読んでいます。あとがきで作者が述べているように
本シリーズの中核は謎解きではありません。ストーリーに関していえばむしろシン
プルで分かりやすい構造になっています。しかし本シリーズで作者が描きたいのは、
仕事を愛する男と家族との折り合い、若者文化を紹介してその評価を読者にゆだね
ている部分だと思いました。若いという事は未熟だという事と同時におじさんには
持ち得ない可能性を持っている。読者にその可能性に目を向けてもらい、自分自身
もその時代を通過してきた事を思い出させる効果が、樋口顕シリーズにはあると思
います。私たち大人はもっと若者文化に関心を持ち、正面から受け止める度量が
あってもいいのでは、という作者のメッセージが私には聞こえました。


若者       おすすめ度
ストーリーは非常に面白い
さすがにうまいと思う



内容でひとつ気になったのが「不良」について

「不良=迷彩のカーゴパンツ」らしい(笑)


今時誰でも迷彩のカーゴパンツなんてはく


いかにも50のおっさんが書いた「若者」って感じだ