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■読者の評価
おすすめ度平均
キャリア警察官竜崎の試練と生き様 おすすめ度
本書は’05年の話題作『隠蔽捜査』の続編にあたり、’07年、「このミステリーがすごい!」国内編で第4位、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門では第9位にランクインしている。『隠蔽捜査』が’06年の「第27回吉川英治文学新人賞」を受賞したのに続いて、本書は’08年、「第21回山本周五郎賞」と「第61回日本推理作家協会賞(長篇および連作短篇部門)」をダブル受賞している。
警察庁キャリアだった竜崎伸也警視長は、前作で警察上層部と息子の不祥事の両方で、隠蔽の誘惑にかられる事態に直面し、共に明るみに出すこと選び、警察官僚の地位をはずされ、所轄署である大森警察署の署長に左遷されてしまう。そこで彼は、部下や地域の人々から変人扱いされながら署長決済の膨大な判子押し作業に追われていた。
そんなおり、消費者金融強盗の犯人のひとりが、管内の小料理屋に銃を持って人質をとり、立てこもるという事件が発生する。竜崎は慣例を無視して現場に駆けつける。
現場での警視庁捜査1課特殊班SITと警備部に所属する突入部隊SATとの主導権争い。説得に応じない犯人。やがて銃声を耳にした彼はSATの突入を下命、犯人は射殺される。ところが、マスコミの思わぬ報道で、突入をめぐる責任問題が巻き起こり、さらには家庭を任せきりにしてきて自分では何もできない妻の緊急入院という難題が重なり、竜崎は公私共に窮地に立たされる。
複雑な縦割り社会である警察機構の圧力や、所轄の署長として従来の慣習に従わせようとする副署長以下の部下たちの態度にも“どこ吹く風”とばかりにあくまで“原理原則”を遵守するおのれの信条を曲げない竜崎の言動は爽快・痛快で、潔ささえ感じる。
さらに、本書ではいったんは解決したかに見えた事件が新展開をみせるという、前作では希薄だったミステリー的な要素も色濃くなっている点も見逃せない。
本書は、竜崎というキャリア警察官の特徴的な個性を軸に据えながら、組織内の主導権争い、捜査現場の緊迫感、意外性のあるプロットが用意された、背骨の通った硬派の警察小説である。
警察庁キャリアだった竜崎伸也警視長は、前作で警察上層部と息子の不祥事の両方で、隠蔽の誘惑にかられる事態に直面し、共に明るみに出すこと選び、警察官僚の地位をはずされ、所轄署である大森警察署の署長に左遷されてしまう。そこで彼は、部下や地域の人々から変人扱いされながら署長決済の膨大な判子押し作業に追われていた。
そんなおり、消費者金融強盗の犯人のひとりが、管内の小料理屋に銃を持って人質をとり、立てこもるという事件が発生する。竜崎は慣例を無視して現場に駆けつける。
現場での警視庁捜査1課特殊班SITと警備部に所属する突入部隊SATとの主導権争い。説得に応じない犯人。やがて銃声を耳にした彼はSATの突入を下命、犯人は射殺される。ところが、マスコミの思わぬ報道で、突入をめぐる責任問題が巻き起こり、さらには家庭を任せきりにしてきて自分では何もできない妻の緊急入院という難題が重なり、竜崎は公私共に窮地に立たされる。
複雑な縦割り社会である警察機構の圧力や、所轄の署長として従来の慣習に従わせようとする副署長以下の部下たちの態度にも“どこ吹く風”とばかりにあくまで“原理原則”を遵守するおのれの信条を曲げない竜崎の言動は爽快・痛快で、潔ささえ感じる。
さらに、本書ではいったんは解決したかに見えた事件が新展開をみせるという、前作では希薄だったミステリー的な要素も色濃くなっている点も見逃せない。
本書は、竜崎というキャリア警察官の特徴的な個性を軸に据えながら、組織内の主導権争い、捜査現場の緊迫感、意外性のあるプロットが用意された、背骨の通った硬派の警察小説である。
面白かったけれども おすすめ度
内容に少し疑問が残った。
立て篭もり事件に、強行突入で解決を図った。
犯人死亡という結果になった。そこまではいい。
しかし、撃ったのは誰か、という点を明らかにしないまま
終りにしようとするなんて事が実際にあるのでしょうか。
報告書には書かないのだろうか。
読み終わった後、その点が気になって、もやもやします。
その点を除けば、かなり痛快な警察小説だと思います。
立て篭もり事件に、強行突入で解決を図った。
犯人死亡という結果になった。そこまではいい。
しかし、撃ったのは誰か、という点を明らかにしないまま
終りにしようとするなんて事が実際にあるのでしょうか。
報告書には書かないのだろうか。
読み終わった後、その点が気になって、もやもやします。
その点を除けば、かなり痛快な警察小説だと思います。
義務と責任を全うする警察署長 おすすめ度
隠蔽捜査の第二弾。2007年度の各種ミステリランキングにもランクインした作品。
前作で警察庁の長官官房の総務課長だった竜崎は、家族の不祥事による降格人事で大森署の署長に就任した。幼なじみの同期のキャリアの伊丹とは地位が逆転してしまったが、前回の事件で恩を売ってあるので、適当に伊丹の地位を利用する竜崎だ。所轄の署長に収まってみると、上意下達と序列重視の警察の組織の無駄を竜崎は痛感する。すべてを合理的に処理していこうとする新署長に、大森署の警察官たちは面食らう。出世コースを外れたことで、ますます自由になってしまった竜崎の言動が面白い。
就任早々、強盗事件が起こり犯人が逃走する。犯人のひとりが銃を持ったまま大森署管内の小料理屋に人質をとってたてこもり、竜崎は対応を迫られる。所轄をまとめ、外部からやってくる警視庁の応援部隊や、捜査一課特殊班(SIT)とSATの間の調整もしなければならない。SITは交渉による解決を目指し、SATは実力行使で解決を図る訓練を受けている。犯人の説得をいつまで続け、どこで強行突入するかは、判断が難しい。交渉が長引いて人質に危害を加えられても、警察が銃撃して負傷者が出ても、世間は警察を非難する。一番楽なのは自分で判断をしないことだ。組織の上部へ判断を任せ何もしないことが組織で上手に生きる術だ。ところが現場にいるのは竜崎だ。彼がそんなことをするわけがない。だからこそ『果断』なわけだが・・・
竜崎が決断を下して事件が解決したあとに、本当の事件が始まる。
竜崎の家族とのやりとりも楽しい。家庭を守る妻が入院し、竜崎は風呂の沸かし方もわからない。それでも就職活動のあいまに長女がごはんを作ってくれたり、浪人中の長男が進路について相談をしたりするので、家庭を顧みない父親にしては、愛されてる方だと思う。東大を目指している長男が、アニメの道にすすみたいと言い出し、竜崎は思考が停止する。それは子供の見るものだろう、と言った父親に、息子は名作だから見てほしいとDVDを渡す。国民的人気ブランドの某アニメだ・・・そんなもんで感動するなよ、竜崎!素直すぎるよ。現代若者事情もひととおり知っていないと犯罪に対応できないよ?(笑)
前作で警察庁の長官官房の総務課長だった竜崎は、家族の不祥事による降格人事で大森署の署長に就任した。幼なじみの同期のキャリアの伊丹とは地位が逆転してしまったが、前回の事件で恩を売ってあるので、適当に伊丹の地位を利用する竜崎だ。所轄の署長に収まってみると、上意下達と序列重視の警察の組織の無駄を竜崎は痛感する。すべてを合理的に処理していこうとする新署長に、大森署の警察官たちは面食らう。出世コースを外れたことで、ますます自由になってしまった竜崎の言動が面白い。
就任早々、強盗事件が起こり犯人が逃走する。犯人のひとりが銃を持ったまま大森署管内の小料理屋に人質をとってたてこもり、竜崎は対応を迫られる。所轄をまとめ、外部からやってくる警視庁の応援部隊や、捜査一課特殊班(SIT)とSATの間の調整もしなければならない。SITは交渉による解決を目指し、SATは実力行使で解決を図る訓練を受けている。犯人の説得をいつまで続け、どこで強行突入するかは、判断が難しい。交渉が長引いて人質に危害を加えられても、警察が銃撃して負傷者が出ても、世間は警察を非難する。一番楽なのは自分で判断をしないことだ。組織の上部へ判断を任せ何もしないことが組織で上手に生きる術だ。ところが現場にいるのは竜崎だ。彼がそんなことをするわけがない。だからこそ『果断』なわけだが・・・
竜崎が決断を下して事件が解決したあとに、本当の事件が始まる。
竜崎の家族とのやりとりも楽しい。家庭を守る妻が入院し、竜崎は風呂の沸かし方もわからない。それでも就職活動のあいまに長女がごはんを作ってくれたり、浪人中の長男が進路について相談をしたりするので、家庭を顧みない父親にしては、愛されてる方だと思う。東大を目指している長男が、アニメの道にすすみたいと言い出し、竜崎は思考が停止する。それは子供の見るものだろう、と言った父親に、息子は名作だから見てほしいとDVDを渡す。国民的人気ブランドの某アニメだ・・・そんなもんで感動するなよ、竜崎!素直すぎるよ。現代若者事情もひととおり知っていないと犯罪に対応できないよ?(笑)
警察組織の問題摘出と立てこもり事件の意外な展開に一気通読 おすすめ度
息子のヘロイン煙草喫煙が原因となり、大森署の署長に異動した竜崎が着任した直後に事件が起こる。高輪署管内で消費者金融への強盗事件が発生し、犯人逃走に対応し緊急配備が敷かれる。その犯人の一人が、大森署管内の小料理屋「磯菊」に立てこもる。
この事件解決を軸にメインストーリーは展開する。
犯人逮捕に臨むSITとSATの2つのグループ。現場の前線本部長になる竜崎と指揮本部長になる伊丹。この2人はキャリアの同期で、小学校の同期でもある。
一警察署組織内での警察人の価値観・組織観と、竜崎の原理原則主義との衝突。従来のやり方を変えていく竜崎の行動。警察組織間の縄張り意識の衝突。キャリアとノンキャリア間の人間関係。新聞報道の実態。作者の眼は、警察機構と新聞報道に潜む問題事象自体を伏流するテーマに据えているようだ。
立てこもり犯の「射殺」で事件が落着したかに見えた。しかし、大森署ベテラン刑事のちょっとした疑問とそれを重視した竜崎の指示から、事件は全く別の様相を表していく。まさに、逆転劇。竜崎と伊丹の絡みは前作に続きやはりおもしろい。
そのプロットの巧みさに引き込まれ、一気に読み終えた。
この事件解決を軸にメインストーリーは展開する。
犯人逮捕に臨むSITとSATの2つのグループ。現場の前線本部長になる竜崎と指揮本部長になる伊丹。この2人はキャリアの同期で、小学校の同期でもある。
一警察署組織内での警察人の価値観・組織観と、竜崎の原理原則主義との衝突。従来のやり方を変えていく竜崎の行動。警察組織間の縄張り意識の衝突。キャリアとノンキャリア間の人間関係。新聞報道の実態。作者の眼は、警察機構と新聞報道に潜む問題事象自体を伏流するテーマに据えているようだ。
立てこもり犯の「射殺」で事件が落着したかに見えた。しかし、大森署ベテラン刑事のちょっとした疑問とそれを重視した竜崎の指示から、事件は全く別の様相を表していく。まさに、逆転劇。竜崎と伊丹の絡みは前作に続きやはりおもしろい。
そのプロットの巧みさに引き込まれ、一気に読み終えた。
キャラクターが最高 おすすめ度
ミステリーしか本を読まない僕ですが、この作品はかなり楽しめました。前作の隠蔽捜査から読まれることをお勧めします。その方が、主人公のキャラクターが理解でき、そこでの出会いがこの「果断」にも関係していくからです。とにかく主人公のキャラクターが最高で、他の作品では警察キャリアの嫌な奴というサブキャラクターっぽい主人公が、その冷たい感じを極めていることで愛されるキャラになっています。警察小説はあまり読まないのですが、この作品はかなり異質で本当にあっという間に読み切れました。

