サクリファイス
作者 近藤 史恵
価格 1,575 円
出版社名 新潮社
出版年月 2007/08
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    第10回 大藪春彦賞   受賞
    本屋大賞 2008年   受賞
ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。 勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。それは、単なる事故のはずだった――。二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動! 青春ミステリの逸品。

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■読者の評価     おすすめ度平均

いろんな意味で心にズシンと来る1冊       おすすめ度
正直な話、序盤からいきなり話に入り込めたわけではありません。
そもそも、ロードレースの「アシスト」の役割を、誇りを持ってこなす選手の気持ちがその時はよくわからなかったせいか、なかなか話が頭に入ってきませんでした。
それでも読み進められたのは、「エース:石尾は何を考えているんだろう」という興味があったからだと思います。

しかし途中、その「アシスト」である主人公:白石のヨーロッパ行きへの欲が出てきたあたりから、ロードレースにおける「アシスト」の存在価値がだんだんと私自身も理解でき、それに従って話に入り込むことができました。
著者の細かなレース模様の描写は、私のようなロードレースを全く知らない者をその世界に引き込むのに十分すぎるものでした。
終盤に出てくる「勝利はひとりだけのものじゃないんだ」という言葉は、ロードレースの根底に流れる精神なのでしょうね。

ただ、帯に書いている「ミステリ」の部分は、本当に終盤にならないと出てはこないです。
そこまではミステリーというよりも、「ロードレースに関わる人間模様、心理模様」を垣間見ることが出来、その世界に入り込める小説として接していたため、急激にミステリーの様相が出てきたことに驚き。
そして真相が全て明らかになったとき、後味の悪さもあり、「サクリファイス」というタイトルと深く結びつく内容に胸が締め付けられたこともありと、いろんな意味で心にズシンと来る1冊でした。


石尾が。。       おすすめ度
本屋大賞ですので、テンポもよく、内容もわかりやすいです。
この競技自体を知らない人には、よくわかりやすいし、薄いので、半日ぐらいでも読めてしまいます。

が、最初はいやなやつ扱いだった石尾が、最後には、とてつもなくすごいやつになるのが、ちょっと違和感あります。特に種明かしの最後の部分。ここまで、すごい人は、想像できないのです。

ほぼ同時期に読んだ、Boxの方が個人的には楽しいです。


ロードレース作品としては非常に良くできている。続編をぜひ読みたい       おすすめ度
作者はおそらくロードレースをよく知らない方だと思うが、綿密に取材された後がうかがえる。
ロードレースと言うマイナーな種目なため、競技の説明的な所が多い。がロードレースの雰囲気や心理は非常によく書けてている。

今までに自転車ロードレースを取り上げここまでリアルに描いた作品はないと思う。

ただ残念なのは、ミステリーの部分は根本的欠陥がある為ない方がよかったと思う。

作者の方にはぜひ続編を書いて欲しい。
できれば、世界選手権自転車競技大会ロードレースにチーム日本として佐藤とのレースを読んでみたい。
そのレースのなかで主人公がアシストからエースに変わる変化が見たい。
そして年をとりアシストに戻り、新しいエースを育てるようなアシストに変わる様を読みたい。

これれを読んだとき昔TVのツールド北海道のなかで、エースの今中大介にキャリアのあるアシストの真鍋選手がダメ出しをしていたのを思い出した。


題名の威力       おすすめ度
自転車レースにほとんど詳しくない自分にとっては、
レースにおけるエースとアシスト役の関係や、自転車の世界の
様々な「暗黙の了解」等も知ることができ、面白かった。

単純に“レースもの”として終わらせる作品にしても、
それはそれで良作になったと思うが、
作者はさらにそこに一味も二味も加えている。
話の展開を二転三転させる作者の力量は見事。
そしてこの「サクリファイス」という題名。
読み終えて、この題名が放つ威力を感じた。


真の犠牲       おすすめ度
空白が目立つ。ページ数もけして多くはない。
ちょっと割高感のある本だなぁ、と思っていました。

描写はいたってシンプルで、特に気の利いた比喩なんかも出てこない。
ただ、淡々とストーリーを追っていくだけ。
疾走するように、あっという間に読み終えてしまいました。

単純で、純粋で、勢いのある小説でした。
けして高くはなかった。
すぐにでも読み返したいと思えました。