月のころはさらなり
作者 井口 ひろみ
価格 1,260 円
出版社名 新潮社
出版年月 2008/01
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■読者の評価     おすすめ度平均

懐かしい,怖い夢を見た ...       おすすめ度
タイトルは枕草子,夏は夜.舞台となる御千木という地名の読み方が頭に入らず,この物語のもつ怖さが募る.御茶ノ水と同じだ,と気が付いて安心するが,奇妙な怖さはそのまま.それなのに不思議と違和感のない非日常性.サトルが母と故郷に行き,いろいろな非日常的体験をしたあげく自らも非日常的能力を身に付けて帰る.怖さは次第に薄れ,なんだか読んでいる方もそんな能力があるような奇妙な気になる.読んだあとの気分は爽快.何故非日常が当たり前に思えるのか,考えた.そうか,これは夢なのだ.サトルが大人になって,父親を他人と思えるようになるために見る夢なのだ.男の子は遅かれ早かれ父と精神的に別れる.その通過儀礼としての夢だから,読んでいる方も共感するのだ.それにしても何たる巧みな文章だろう.先が楽しみな作者だ.


気分によって何度も読みたい本です       おすすめ度
読後感が良い本です。
読んでいくと、どんどん引き込まれます。
「宮部みゆき激賞」という帯に惹かれて買いましたが、購入して正解でした。
また気持ちが落ち込んでいる時にでも読み直したいです。


綺麗な風景画       おすすめ度
第3回「新潮エンターテイメント大賞」受賞作品。
訳あり的な親子は、17歳の息子悟とその母園子。
この二人が奇妙な庵にやっかいになる数日間の物語。
悟の緊張がほぐれていくのと並行して、物語の謎が消えていく。
奇妙な庵も、小さな村で生まれた逃げ場所であり、人が生きる知恵の一つだと言える。
丁寧に日本の古い暮らしを描いているのだけど、人間関係の描き方が希薄なのだ。
人と人のしがらみが持つ哀しさが描けていたらと思う。