海辺のカフカ〈上〉
作者 村上 春樹
価格 1,680 円
出版社名 新潮社
出版年月 2002/09/12
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■読者の評価     おすすめ度平均

難解で、それでいてシンプルで...       おすすめ度
多くの村上作品がそうであるように、
「海辺のカフカ」も難解であり、それでいてシンプルに、
作者の多分野における洞察が表現されているように感じた。
時には軽快に、時にはヘビーに読者に真意を問いかける感覚が楽しめる。

この作品は一つの物語と、もう一つの物語が別々に進み、
最終的に両方の物語が一つになるという不思議な構成で書かれている。
世界で最もタフな15歳を自称する主人公が、
東京中野区から四国の香川県高松市まで家出し、
そこで暮らす過程で巻き起こるさまざまな事件や登場人物の感性を通して、
自我、死、戦争、暴力、愛、運命、そして何よりも
「我々人間は誰しも損なわれるべきではない」という強いメッセージを
読み手に訴えかけている気がした。

作品中、折に触れて「言葉にならない想い」について言及されるが、
「言葉にならない想い」を理解できる世の中であれば、
我々が損なわれる機会も減り、きっと住みやすい世の中になるのではないかと、
作品を読み終えた時に鮮やかに思えたことが、
やけに不思議な感覚を私の中に残すことになった。


各パーツを独立した短編として読んでみたい       おすすめ度
部分的に面白いと思わせるところは散見されましたが、全体としては私にはさっぱり理解不能であり読後には陰鬱とした嫌な後味が残る作品でした。

推測ですが、この作品は全く別個独立したいくつかの書きかけの短編を無理やりひとつの物語として繋げられるかどうかに挑戦し、そして失敗したものなのではないでしょうか。かつての長編作品では、その手法がある程度成功していたということなのかもしれないとをふと思いました。


十五歳の通過儀礼       おすすめ度
内向的、反社会的な主人公の呟きをスタイルとした村上さんの初期作品を好む方は好きではないかもしれないですが、個人的な立場に沿いつつも俯瞰したような透明な幾つかの視点は中期作品以降のテーマでもあるデタッチ→コミットの変遷、「内閉からの回復」と深い関わりがあるようでとても興味深いです。村上作品にはこれまで無かった「他人と深く関係すること(夢の共有など)、それによって「僕」が「成長する」という事実が、かなり重要な意味を持っていると感じました。そして父親的な存在として登場するジョニーウォーカー(永沢、先生の秘書、ワタヤノボル等の意思を引き継いでいるものとして考えています)はカフカ少年とナカタさんによって殺されますが、不滅性を暗示するような形で締められている事が「前向き」なこの物語に絶妙な影を落とし、この小説の明暗のバランスを揺るぎないものにしていると思います。作中のカフカ少年が父親を殺して新たな自分を手に入れたように(大分端的な言い方で申し訳ない)、村上さんは僕たちに「絶対的な存在を退け、新しい世界に足を踏み入れる」ように示していると感じているのは、僕だけでしょうか。


難しい事は考えず!       おすすめ度
15歳の男の子が家出か〜とかいうノリで読んでいったら
やたらよくわからない、はっきりしない事が多いので、
ミステリーかと思えばそうでもなく(ちょっとミステリー風ではあったけど)
とにかく…この子、その周りの人物の考えてる事が難しすぎる…
考えてもよくわからないので、ざっと雰囲気を感じる程度にしました。

難しい、難しいんだけど、不思議と引き込まれる!!
なぜだかわかりませんが単純に「面白い」です。
文章が…上手いのでしょうか??

話は2つにわかれています。
もう一つの話、猫と会話できるナカタさんサイドの話が好きでした。

とにかく続きを!な上巻でした。


健全な骨と肉と心の希求       おすすめ度
いつの間にか歪んだ骨格は肉と心をも歪ませる。
だからそれを正す事が健全さへの扉である。
その上で、言葉の無限回帰という神経症の罠を
克服する。
読後1年以上経って、自分なりに得たこの本の主旨です。