号泣する準備はできていた
作者 江國 香織
価格 1,470 円
出版社名 新潮社
出版年月 2003/11/19
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    第130回 直木賞   受賞
体も心も満ち足りていた激しい恋に突然訪れた破局、その絶望も乗り越えてゆくよすがを甘美に伝える表題作、等12篇。濃密な江國香織の世界に浸れる待望の短篇集。

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?『きらきらひかる』や『落下する夕方』など多数の作品で、揺れる女性の内面と恋愛模様を描いてきた江國香織の短編小説集。淡く繊細な筆致でつづられた12編は、さらりとした読みごたえでありながらも、男と女の物悲しさを秘めたものばかりだ。第130回直木賞受賞作品。

???満ち足りていたはずの恋に少しずつ影が差す様を描いた表題作「号泣する準備はできていた」、妻のある男性との濃密な関係がずれはじめる一夜をつづった「そこなう」など、当たり前にそばにあるものが静かに崩壊していく過程を、江國は見慣れた風景の中に表現してみせる。また、若かりしころの自分と知人の娘の姿を重ねた「前進、もしくは前進のように思われるもの」や、17歳のときの不器用なデートの思い出を振り返る「じゃこじゃこのビスケット」では、遠い記憶をたどることによって、年を重ねることの切なさを漂わせる。

???各編の主人公は、もう若いとはいえない年齢の女性たちである。家族や恋人を持ち、同性の友人にも恵まれている幸福そうな生活の隙間に忍び寄る、一抹の不安やわずかなすれ違いは、誰もが経験したことがあるだろう。主人公の心境が「残りもののビスケット」や「捨てられた猫」といった身近なものに投影されるのも、江國作品の特徴である。決してドラマチックではない日常の瞬間を切り取った物語が、シンプルながらも美しくまとめられている。(砂塚洋美)



■読者の評価     おすすめ度平均

女性の感性が満載       おすすめ度
12の物語から成る短編集。

世の中には私を含め、いろいろな人がいろいろな想いを抱えて生きていて、
いろいろな境遇に対していろいろな決断を重ねているという事実を、
潔く伝えてくれている感じがした。

当たり前かもしれないが、この作品は女性の視点で書かれている。
そして、そのことに対して男性の読者は不安定な感覚に襲われるのかもしれない。
しかし、女性の感性を覗き見るといった、
秘密の行為に対するゾクゾク感のような感覚もあるといっていい。
前に読んだ江國作品「落下する日々」でも同じことを感じた。

人は「自分が想い描くとおりに生きられるのが幸せ」と感じるのだろうが、
そうはいかないのが我々の人生で、
人々はみな不条理を感じながら、必死に現実を受け入れながら、
喜怒哀楽(多くは「哀」という気もするが…)に包まれて生きていることを
読後に改めて実感することとなった。


感情のたまてばこ       おすすめ度
12編の短編集。いろんな感情をもった女性を主人公にしています。
一番印象に残ったのは「洋一も来られればよかったのにね」。
冷え切った関係の旦那のお母さんと例年の小旅行にいく女性が主人公。
表に出している態度と、心の中って一致しないよなあ
とつくづく思いました。
他の作品もどこか一抹の寂しさを抱える女性の心理を描いていて、
こういう不安を言葉にならずに抱え込んでる人は世の中にたくさんいるんだろうなぁ
と感じます。
130回直木賞受賞作品。


汗や努力やどろどろの涙がない       おすすめ度
さらっとした短編12編。私の人生になんら関係のない話で溢れている。生きている実感を感じることが出来ない物語たち。唯一「溝」が良かった。ただそれだけでしかない作品集。


ありふれた日常       おすすめ度
たぶん世間には、この小説の内容と似たような経験をした人が何人もいるような気がします。
それくらい何でもない日常を描いた作品です。
でも「あぁ、この気持ちなんとなく分かる!」みたいな共感できる部分が多々あって心に染み渡る感じがしました。
なんでここで終わるんだろう?と思わせられるものもいくつかありましたが、それは何回も繰り返し読むうちに分かるものではないかと思います。
作者の言いたいこと、伝えたいことが表には出されていない、ある意味どんな寓話やお伽話よりも深い作品です。


いまはまだ・・       おすすめ度
もう少し、世の中を色々体験してから、もう一度読みたい。
今はまだ、私にはよく理解できなかった。でも、きっと大切なメッセージが込められていると思った。

よく分からなかったのに不思議と読むのをやめようとは思わなかった。流れるように一気に読めてしまった。それはきっと、文章の描き方に魅力があるからだ。この作者の本はだから好きだ。