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■読者の評価
おすすめ度平均
先生 おすすめ度
小池真理子という作家を知ってから、まさに「貪る」ようにしてその著作を読み続けてきた私です。このエッセイは、小池崇拝者としては非常に興味深い内容ばかりが書かれてあります。
特に凄いと思ったのは、三島由紀夫について書かれた章。彼について、『三島由紀夫は、既に「ミシマ」という文学的記号と化してしまった』と表現していたのには、もうため息しか出てきませんでした。三島に対して誰よりも強い愛を持って彼の文学に接するあまり、どういう作家にもできないような言い方で真実を語っていると感じました。
また、小池ファンとしては、彼女の愛してきた作家や、それらを読んで彼女がどう感じたのかを詳細に知ることができ、それをたどっていく楽しみもあります。
旦那様である藤田氏とのことについて書かれた章では、何故かとても胸を打つものがあり、思わず涙ぐんでしまいました。
私の中では、小池真理子という人も、既に「コイケ」という文学的記号になりつつあります。最高に尊敬する人。
特に凄いと思ったのは、三島由紀夫について書かれた章。彼について、『三島由紀夫は、既に「ミシマ」という文学的記号と化してしまった』と表現していたのには、もうため息しか出てきませんでした。三島に対して誰よりも強い愛を持って彼の文学に接するあまり、どういう作家にもできないような言い方で真実を語っていると感じました。
また、小池ファンとしては、彼女の愛してきた作家や、それらを読んで彼女がどう感じたのかを詳細に知ることができ、それをたどっていく楽しみもあります。
旦那様である藤田氏とのことについて書かれた章では、何故かとても胸を打つものがあり、思わず涙ぐんでしまいました。
私の中では、小池真理子という人も、既に「コイケ」という文学的記号になりつつあります。最高に尊敬する人。
切れ味のいい著者厳選のエッセイ集 おすすめ度
エッセイ73編を集めた本のタイトルを何にするか。例えば、その中の題名「水が流れるように」をそのまま書名にすることも考えられるが、本書は別に井上陽水の歌詞をそのまま拝借している。大学時代、著者が繰り返し聴いて、この歌詞のもつ力強さに励まされたことによるらしい。
本書の内容は、書くことや読書などの文学的なこと、家族や身のまわりの生活的なこと、愛に関する人生観など、親しみやすいものが多い。近頃、小池ワールドは官能的な、その輝きを増しているが、そこまでに行き着く、その原点のようなものが、「狂おしい精神」の三島文学かもしれない。このタイトルで書かれているエッセーの一部を取り上げてみよう。
一口で言えば、現代社会が忘れかけている「無垢の狂おしさ」が三島由紀夫に内包していたというのである。真摯であるがゆえに、過剰に狂おしく、終末を予感し、破滅行動に駆られざるをえなくなった…『憂国』『金閣寺』『豊饒の海』など、例を挙げればきりがないほど、三島作品のどれもに著者は収拾のつかないほど狂おしさを感じている。現代の多くの人はそれを隠蔽しようとし、狂おしさとは無縁のところで生きているふりをし続けている。
天才作家・三島由紀夫の精神構造を自分のそれと重ね合わすのは笑止千万とは思いつつ、「これまで私は、いかに三島の狂おしさゆえの明晰さに救われてきたか」と述懐している。三十年来、三島の魅力に取り憑かれ、密かに恋をし続けている作家である(雅)
本書の内容は、書くことや読書などの文学的なこと、家族や身のまわりの生活的なこと、愛に関する人生観など、親しみやすいものが多い。近頃、小池ワールドは官能的な、その輝きを増しているが、そこまでに行き着く、その原点のようなものが、「狂おしい精神」の三島文学かもしれない。このタイトルで書かれているエッセーの一部を取り上げてみよう。
一口で言えば、現代社会が忘れかけている「無垢の狂おしさ」が三島由紀夫に内包していたというのである。真摯であるがゆえに、過剰に狂おしく、終末を予感し、破滅行動に駆られざるをえなくなった…『憂国』『金閣寺』『豊饒の海』など、例を挙げればきりがないほど、三島作品のどれもに著者は収拾のつかないほど狂おしさを感じている。現代の多くの人はそれを隠蔽しようとし、狂おしさとは無縁のところで生きているふりをし続けている。
天才作家・三島由紀夫の精神構造を自分のそれと重ね合わすのは笑止千万とは思いつつ、「これまで私は、いかに三島の狂おしさゆえの明晰さに救われてきたか」と述懐している。三十年来、三島の魅力に取り憑かれ、密かに恋をし続けている作家である(雅)
待っていました! おすすめ度
久々の小池氏のエッセイ集です。直木賞以来のさまざまな雑誌や新聞に書かれたものを、テーマごとにまとめたものです。
小池真理子氏ファンにとっては、最近の小池氏の創作の思い、人生について知ることができる待望の一冊です。
「知的悪女のすすめ」で一世を風靡し、その歯に衣着せない語り口で世の女性の共感を得てから、すでに長い月日がたち、その間にすっかり小説家としての地位を不動のものとした小池氏ですが、本書を読むと、「ああ、丸くなったなぁ」と感じます。もちろん、恋愛に関しては小池氏ならではの「死」と隣り合わせに近い価値観はお持ちですが、その日常はいたって穏やかです。自分の晩年を、「週末だけ男が通ってきて彼が持参した鮨折をつつきつつ、ぬる燗を飲みたい、、」などと書かれてしまうと、まいったなぁ〜と感じます。
小池真理子氏ファンにとっては、最近の小池氏の創作の思い、人生について知ることができる待望の一冊です。
「知的悪女のすすめ」で一世を風靡し、その歯に衣着せない語り口で世の女性の共感を得てから、すでに長い月日がたち、その間にすっかり小説家としての地位を不動のものとした小池氏ですが、本書を読むと、「ああ、丸くなったなぁ」と感じます。もちろん、恋愛に関しては小池氏ならではの「死」と隣り合わせに近い価値観はお持ちですが、その日常はいたって穏やかです。自分の晩年を、「週末だけ男が通ってきて彼が持参した鮨折をつつきつつ、ぬる燗を飲みたい、、」などと書かれてしまうと、まいったなぁ〜と感じます。
舟を出さなければ闇から抜け出せない、希望も生まれない おすすめ度
著者には、読んでいて心地のよい小説を書こうという気はありません。
充分に大人であり、充分に理性も備えているはずの人間が、どうしようもなく逸脱していく。いま自分を取り囲んでいる健全で平和な日常生活から、限りなくこぼれていこうとする。そんな人間の心もようが著者を魅了する、とのこと。
著者は言います。「私は逸脱にこそ、惹かれる」と。
その実例として、著者はフランスの作家、マルグリット・デュラスを挙げています。彼女は66歳の時に39歳年下の、ヤン・アンドレアという詩人と出会い、たちまち恋におちました。二人は暮らし始め、彼女が81歳で他界する時まで、その恋は続きました。
著者は1983年暮れに作家の藤田宜永氏と“電撃的に”恋におち、3ヵ月後に一緒に暮らし始めました。子供を作らずに入籍しない結婚、という考え方に意気投合した二人は、いまだに「事実婚」のままでいます。
文学を生活の真ん中に置いた夫婦生活は、著者が直木賞の候補にあげられ、試練を迎えました。夫婦で同時受賞するのではないかという下馬評が流布していましたが、フタをあけてみれば、受賞したのは著者だけ。夫の藤田宜永氏は落選してしまいます。
5年後に夫も直木賞を受賞しますが、売れっ子になった妻の姿を目の当たりにしなければいけない生活は、どれだけ辛かったろう、と著者は述懐しています。
若き日を思い出しながら、著者は『闇夜の国から』の歌詞に現在の思いを託します。
海図のない旅は永遠に、死の直前まで続くのだ。船出の理由など、ど
うでもいい。生きている限り、とにかく二人で舟を出すのである。舟
を出さなければ、闇から抜け出すことはできないし、希望も生まれな
いのである。
自分から目をそらさず、自分自身を見つめる強い著者です。読みはじめる前に、こちらもちょっと覚悟する必要があるかもしれません。
充分に大人であり、充分に理性も備えているはずの人間が、どうしようもなく逸脱していく。いま自分を取り囲んでいる健全で平和な日常生活から、限りなくこぼれていこうとする。そんな人間の心もようが著者を魅了する、とのこと。
著者は言います。「私は逸脱にこそ、惹かれる」と。
その実例として、著者はフランスの作家、マルグリット・デュラスを挙げています。彼女は66歳の時に39歳年下の、ヤン・アンドレアという詩人と出会い、たちまち恋におちました。二人は暮らし始め、彼女が81歳で他界する時まで、その恋は続きました。
著者は1983年暮れに作家の藤田宜永氏と“電撃的に”恋におち、3ヵ月後に一緒に暮らし始めました。子供を作らずに入籍しない結婚、という考え方に意気投合した二人は、いまだに「事実婚」のままでいます。
文学を生活の真ん中に置いた夫婦生活は、著者が直木賞の候補にあげられ、試練を迎えました。夫婦で同時受賞するのではないかという下馬評が流布していましたが、フタをあけてみれば、受賞したのは著者だけ。夫の藤田宜永氏は落選してしまいます。
5年後に夫も直木賞を受賞しますが、売れっ子になった妻の姿を目の当たりにしなければいけない生活は、どれだけ辛かったろう、と著者は述懐しています。
若き日を思い出しながら、著者は『闇夜の国から』の歌詞に現在の思いを託します。
海図のない旅は永遠に、死の直前まで続くのだ。船出の理由など、ど
うでもいい。生きている限り、とにかく二人で舟を出すのである。舟
を出さなければ、闇から抜け出すことはできないし、希望も生まれな
いのである。
自分から目をそらさず、自分自身を見つめる強い著者です。読みはじめる前に、こちらもちょっと覚悟する必要があるかもしれません。

