古道具 中野商店
作者 川上 弘美
価格 1,470 円
出版社名 新潮社
出版年月 2005/04/01
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■読者の評価     おすすめ度平均

新人類?       おすすめ度
 「わたし」も、中野さんも、タケオも、マサヨさんも、「新人類」ですね。決して濃くない、淡白な。新人類。(私はそう呼ぶというだけで、意味は正しくないかもしれませんが)
 たとえば、何げなく、キスしたり、セックスしたり。その後、何かを意味するわけでもなく。そういうのが私はちょっと苦手です。でも、若者ってそういう感じなんでしょうね。
 ただ私は川上弘美さんにはすごく濃密なものを書いてほしかった。「わたし」とは特別、「濃密な」関係ではない人間が何人か出てくるわけですがそんなの、ちょっと、興味ない。
 ひたすら、「わたし」とタケオの恋ばかりを追っていました。きっと、現実は淡白なものなんでしょう。だから、小説の中でぐらいは濃密な関係を読みたいような感じです。


5年間の歳月をかけて完成された小説       おすすめ度
 5年間の歳月をかけて完成された小説だけあって、味わい深い、内容の濃い物語に仕上がっています。
 小さな古道具店で働く人たちやそこの客、関係者などの個性あふれる行動とか、おっかなびっくりで毎日を過ごす若者たちの様子が生き生きと描かれているので、読者は自分の周辺で実際に繰り広げられている話のように思えてきます。
 この小説のように、我々日本国民は周りの人々にもっと関心をもち、自由な気持で生活を楽しむようになれば、この国も住みやすい、いい国になると思う。


とても幸福感に満たされる作品です。       おすすめ度
若いころは相手をなじったものだった。三十代の頃も。四十代になってからも。
自分が悪くても相手が悪くても、ともかく相手をなじった。関係が恋愛であっても単なる知り合いであっても、トラブルの時は、いつだってそうだった。
けれど、五十代には入ってから、行き違いだ誤解だのいさかいだのが起こったとき、簡単に相手を責められなくなった。
すぐに相手をせられれば楽なんだけど。
相手をなじる以前に、あたしの激しい憎しみやらなじりやらを受け入れることができるくらい相手が健やかなのか、気にかけなけりゃならなくなるのが、年をとるってことなのよねえ。

なるほどなあ〜〜と思う作中の文章であります。 


あるあるネタ       おすすめ度
こんなに現実味のある小説は久しぶりです。
私や周りにありそう。部分部分を取り出せば確実にある話です。

目の前に恋愛対象として“あり”な男が1人だけいたら、、
そいつがお金持ってなくて、夢もない、元いじめられっこで、
何考えてるか分からない、しかも「あまりHは好きじゃない。」
とかいうダメダメ男でも、

恋に落ちてしまうんです。
どこがどういいんだか説明がつかなくても、止められなくなる。
けど自分もダメ子だからどうしていいか分からなくなって、、

そんな“あるある”っていう話をこんなにうまく書いてくれる作家さんがいることに感動しました。
他の登場人物の言葉や設定もすごくいいです。何度か読み返しました。

タケオ視点版も出版して欲しい!


「行間で読ませる」       おすすめ度
 はじめの一文を読んだだけで、この本を好きだ、と思いました。まどろっこしい長い文章でもなく、くどい人物像紹介もありません。それなのに、どうしてこんなにいろんなことが伝わってくるんだろう。川上弘美さんの作品を読むたびに、行間で読ませる、という言葉が浮かんできます。特にこの作品は「センセイの鞄」の淡い雰囲気に似ていました。