押入れのちよ
作者 荻原 浩
価格 1,575 円
出版社名 新潮社
出版年月 2006/05/19
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■読者の評価     おすすめ度平均

荻原さんのジャンルじゃないと思う・・・。       おすすめ度
一応、ホラーになるのかな。
まぁでも、この作家さんは、「怖い話」を書く作家さんじゃないと思うのです。
器用な作家さんだし、表題作は
ホラーといえども、この作家らしい、ほのぼのさがあって良いと思うのですが
ぶっちゃけ、どれも、どっかで読んだことあるような話。

それでもってドキドキしたり、ぞっとしたりなとこが、ない。

「コール」とか、「老猫」とか、「しんちゃんの自転車」とか
本当に申し訳ないけど、ひどいなこりゃ・・・とまで思ってしまった。



「殺意のレシピ」とか、「介護の鬼」とか、「予期せぬ訪問者」とか
読んだことある感、ありありだけど、それでも面白かったので、ホラーよりは
ブラックジョーク的な方向の方が得意のなのかもしれません


最高だよ荻原テイスト!       おすすめ度
やっぱりいいですね。荻原テイスト。
文章表現のうまさは抜群です。
表題作”押入れのちよ”は彼のお得意のユーモア路線だから、おもわず”ぷっ”と噴出すシーンが満載。短編ながら素晴らしい作品です。ちよの悲しい過去、えっつ?という背筋が寒くなる怖いオチと、となりの東南アジア人との絶妙な会話、短いページ数で豊富な表現を駆使して、読者をちよワールドに引き込みます。
それ以外の作品も、どれも”世にも奇妙な物語”風で、映像化してもオモシロそうなものばかり。笑いあり、涙あり、怖さあり、感動あり。。いろいろなテイストがびっしり詰まったこの1冊は価値のある一冊です。



もしかしたら、荻原浩は短編の方が向いているかも?そう思わせるだけの粒揃いの傑作短編集       おすすめ度
長編小説作家、荻原浩は、一体、どんな短編小説を書いているのか?私は、そんな興味津々たる好奇心を持って、この荻原浩初の短編小説集を読んでみたのだが、これは、予想以上に粒揃いの傑作短編集だった。荻原浩は、もしかしたら、長編小説より短編小説の方が向いているのではないか?正直、そう思ったくらいなのである。 

荻原浩は、卓越した文章力を持った素晴らしい作家ではあるのだが、その卓越した文章力をもってしても、長編小説では、中だるみや作品の長さを感じてしまうことが多く、その傾向は、ミステリなどのシリアスな作品に、特に顕著に出ていると思うのだ。 

しかし、ここに納められている短編小説くらいの長さなら、持ち前の軽妙洒脱な文章力で一気に読ませてしまうし、何より、作品自体も、よく練られたものばかりで、いずれの作品にも何らかの「サプライズ」を用意しているところは、ミステリを好んで書いている荻原浩らしいし、バラエティー豊かな作品構成も、いかにも荻原浩らしく、読者を飽きさせることがない。

いずれ劣らぬ作品の中で、私が特に秀逸と感じたのが、冷え切った夫婦の食卓を挟んだ丁々発止のやり取りを描いた「殺意のレシピ」、見るからに頭が鈍そうな訪問者と主人公との、スリリングでありながらも、何ともいえないユーモラスなやり取りを描いた「予期せぬ訪問者」、ほのぼのとしたユーモラスな味わいの中に切なさが溢れる「しんちゃんの自転車」だ。 

その外の、何も知らない無邪気な2人の少女の描写が涙を誘う「お母様のロシアのスープ」、荻原浩の騙しのテクニックが冴える「コール」、ユーモアが効きながらも、ちょっと切ない「押入れのちよ」、ぞくっとする「老猫」に対し、ブラック・ユーモアを効かせた「介護の鬼」という好対照のホラー・サスペンス2作、15年前に忽然と姿を消した妹の失踪事件の謎に迫るホラー・ミステリ「木下闇」も、佳作といっていいだろう。 


くすっと、どきっと、しよう。       おすすめ度
「はいなるあんさー?」

家賃3万3千円のマンションについてきた古風な女の子との同居生活を描いた表題ほか、9つの短編が収められている。

なんとなくアニメのような展開でほのぼのさせられるような表題作や、ほろっとさせられる「コール」(ちなみにお話の組立もうまく、読み返すこと必至)、背筋が寒くなり猫嫌いになりかねない「老描」など、バラエティも豊か。フィクションならではの、なんでもあり的な展開が心地よく、短時間でも気軽に楽しめます。

なんとなく、星新一さんや清水義範さんを彷彿とさせるような作風。リラックスタイムに読んで、くすっと、どきっと、しましょう。


“萩原テイスト”あふれる、傑作ホラー・初短編集       おすすめ度
荻原浩にしては珍しい、というより初の短編集である。

’99年から’04年にかけて各社の小説誌に掲載された8編に、書き下ろし1編を加えた9編からなっている。いずれもホラーのジャンルに属する短編ばかりであるが、そこには生理的に恐怖を訴えるような物語は少なくて、お馴染みの“荻原ワールド”が健在だ。

ラインナップを挙げてみる。
「お母さまのロシアのスープ」―最後の一行に向かうストーリー展開がさすが。
「コール」(書き下ろし)―私が本書で一番好きな作品。見事な叙述ホラー・ミステリー。
「押入れのちよ」(表題作)―本編こそ“萩原テイスト”にあふれた佳作。青年と幽霊との交流が、そこはかとなく哀しくもあり、ほほえましくもある。
「老猫」―これは生理的な恐怖をおぼえる、正真正銘のホラーである。
「殺意のレシピ」、「介護の鬼」、「予期せぬ訪問者」(いずれも『小説すばる』が初出)―ブラック・コメディと言うかなんと言うか、怖いんだけれども笑えてしまう作品。
「木下闇」―クラシックなスタイルの正統派ホラー。
「しんちゃんの自転車」―「押入れのちよ」と根本的には同じようなジャンルの、読み終えてほっと安心する作品。

私は、本書を読み終えて、フジテレビの、タモリが案内役をつとめる『世にも奇妙な物語』を連想した。映像化不可能な作品もあるが、テレビかラジオのドラマにでもなりそうなものばかりだった。