四度目の氷河期
作者 荻原 浩
価格 1,890 円
出版社名 新潮社
出版年月 2006/09/28
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■読者の評価     おすすめ度平均

少年のたった一人のサバイバルゲーム       おすすめ度
主人公渉の5歳から18歳までの成長を描いた物語だが、思春期ならではの身体の悩み、恋愛の悩み、部活の悩みなども具体的に描かれていて読みやすかった。個人的に好きだったのは渉が幼稚園や学校で問題を起こしたときに、渉の母親が筋道を立ててきちんと渉に分かるよう説明するシーン。母子家庭だからといって悪いことをしたら叱るというわけではなく、良いこと、悪いことをきちんと理解させる母親に好感が持てた。人に迷惑をかけないこと、約束は守ること、自分の気持ちだけじゃなく人の気持ちも考えること、相手に先に仕掛けられても暴力反対と頭の中で三回唱えることなどなど。なかでも一番共感したのが「友達は数を競うものじゃない。逆かもしれない。百人の友達がいるとか、何十人もの人を好きになったという人は実は本当の友達も真剣に好きになった人もいないんじゃないか。負け惜しみかもしれないけど、大切な人は少ないから大切なんだ」というセリフ。もっともだと思った。


テーマは秀逸。でもエピソードがちと散漫かな。       おすすめ度
荻原浩がビルドゥングスロマンに挑むとこうなる,ってことかなぁ。

「ぼくはクロマニヨン人の子どもだ」という仮説に気づいてからの秘密の道具づくり,自分の中に別の生き物が棲んでいるように感じる第二次性徴。情熱を注ぎ込む対象を見つけてからの成長。母親に対する想い。それぞれのエピソードは安心して読めます。

ところが,この物語全体を通してのテーマは何だろう?となるとちょっと首をかしげざるを得ない。本全体が18歳の主人公が振り返った幼少からの回想記になっているからか,エピソードが多すぎ。本来濃密なエピソードたちが散漫に流れるってことは,単に詰め込みすぎなんでしょうか。

それでも,終盤まで読んで,改めて冒頭を見直してみると,作者がこの本を通して語りたかったことは何かをを実感できます。そのへんはさすが荻原作品です。



好みが       おすすめ度
普通ではないのはクロマニヨン人の子だから…という発想に
まずついていけるかどうか。

それを
ずっと思い込み続ける主人公についていけるかどうか。

斬新ではあると思います。


ある日突然にやってくる氷河期。       おすすめ度
そうなんですね。氷河期って次の日いきなり氷河期に入ってしまうらしいですね。
DAY AFTER TOMORROWという映画で、ある日突然氷河期になっちゃったものだから、んな訳無いじゃん!と突っ込みを入れていた私ですが、あれは本当だったんだ!

地球的歴史から見たら、自分の人生なんてほんの数秒のお話。
くよくよしたって仕方がないさ!って励ましてくれる作品です。
大好きな荻原さんですし、荻原作品には私にとって外れは一度もないので、どんな内容かも全く予備知識なしに読みました。
わりと終始淡々とワタルの一人称で日常が描かれていくので、終盤少し中だるみ気味のとところはありますが、相変わらずの文体のうまさに敬服。うますぎですよ!
登場人物がこれまた魅力的。
そしてラストの白白白白白白白。。。白を百回ぐらいの世界での自分探しの旅の終わりに感動しました。

昔知人にドイツ人の父、日本人の母を持つ男子がいて、彼は小さいときに両親が離婚して母に日本で育てられたので、勿論日本語しかしゃべれませんでした。
でも外見はいかにも白人だったので、よく英語で話しかけられ困るとこぼしていましたし、海外旅行したときも、片言の英語を話すと周りの人にぎょっとされたとも言っていました。彼も自分の外見(かなりかっこいい)で苦労したらしいです。



自分は何者か       おすすめ度
私は落ち込んでいたので、この本にとても救われました。
きっと、そこまでの悩みの無い方には唯の本だと思います。

周りと違う事で小さい頃から悩み、多動症かとも言われた自分の内から出てくる落ち着かない感じを抑える方法を自分なりに考えたり、とても健気で、賢い少年でした。
確かにラストシーンは強引だなあと思いましたが、
少年が成長していく姿に、ああ、こうして自分と折り合いを漬けて行けばいいんだなあって。
「父親はクロマニョン人」なんだって言うのも、外見や身体能力の違いでいじめられる、自分でも自分が「変」に見えてしまう。そんな自分に何か納得できる理由を見つけたかったんだと思います。そうして納得する事で自分を強くして。

私には語彙が少なくてとても良さが表現し切れませんが、落ち込まれている方には是非読んでみてもらいたいなあと思います。