奇跡の自転車
作者 ロン・マクラーティ
価格 2,730 円
出版社名 新潮社
出版年月 2006/08/30
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■読者の評価     おすすめ度平均

そして人生どんづまりデブは旅に出た       おすすめ度
主人公は43歳、体重126キロ。何の取り柄もない、酔っ払いの、終わったデブだ。
肉親の訃報を受けてアメリカ横断の旅に出る…子供の頃に乗っていたラレー(自転車)で。

読み進みながら主人公と同じように自転車で旅をしている自分の姿を思い浮かべるが、
どうせ何もしないことは私が一番よくわかっている。私は終わった人間なのだから。

故郷に帰った主人公は、自分を変えることができたのだろうか。

そうであって欲しい、と思う。

--

原題は「The Memory of Running」、このダイエット本みたいなダメな邦題は
何とかならんかと思うけど、「自転車」の3文字があったからこそこの本を手に
取ったのだから±0。

あと著者は自転車に乗っていないのだろうか。

いや、主人公が自転車と「離れる」シーンが、あまりにもあっけないもんで。
これは自転車乗りには堪え難いことなので、こんなにあっさり書けないと思う。


自転車の旅と人生の旅       おすすめ度
決してヒーローではない主人公が アメリカ横断の旅に出る。
自転車に乗って。
行方不明だった姉の遺体を迎えに行くために。

家族の中に爆弾を抱えて生きる。それが何の病気であれ何の理由であれ
どんなに心を研ぎ澄ませてしまうものか、私は少し知っている。
それは辛いという感情とは少し違う。悲しく不安に尖って眩しさを突きつけてくる。
そして家族を傷だらけにしてしまう。でも生きてはいける。

戦争。麻薬。病気。貧困。死。
さまざまな人生と出会い、別れ、辿り着いた場所で彼が見たもの─
全編に散りばめられた優しいことばの数々が、読み終えた後に温かく包み込んでくれる。

1度めは、毎日少しずつ読んだ。 自分も旅してるみたいに。
2度めは、一気に読み進んだ。彼の人生を追いかけるように。
今は地図を横にもう1度読んでみたい。


つまらなくはない       おすすめ度
つまらなくはない。
前半は引き込まれるが、
後半にいくに従い、やけに段落が短くなり、もっと話しに入っていきたいのに
途中で時間軸が変わってしまう。

それと、主人公が理由なく暴力を受けたり、
ひどい態度を取られることに多少ストレスを感じた。
これがアメリカと言われればそうなんだけれど
病人や子供を助けたのにこの仕打ちでいいのか?

前半の調子で最後までいってくれたら
かなり良かったと思う。


統合失調症を持つ家族の姿、理想的な家族愛を見た       おすすめ度
私は精神科医です。統合失調症の患者を抱える家族と付き合ってきて、その苦悩の量は想像を絶するものがあると感じてきました。でも、そんなことは当たり前だよ、みんなで頑張ろうぜ、と患者である姉を世話する両親と主人公の弟。この小説には想像以上のリアリティがあると感じました。統合失調症の患者を世話する大変さが、実にそのもののように出ています。そして、この苦難の中で家族がお互いに自分を主張することなく、相手に与える愛を思う存分発揮するという物語です。こんな家族がいるなんて信じられない、でも信じたい、と思ったしだいです。まったくアメリカ人的ではないシャイな主人公が、自転車でアメリカを横断する中で、語られる家族の物語。ドキュメンタリーとしてもおかしくないほどの迫力を感じました。日々の診療に勇気付けられる作品です。ぜひとも、精神科の医療関係者必読!と推薦したい。


ダメな奴なのに、なぜか見捨てずにいてくれる人がいることの希望       おすすめ度
 訳者があとがきで書いているように、この本は「いい話」の類(たぐい)である。いわゆる“ハートウォーミング系”。そうした本は普段はパスしてしまうのだが、主人公の「43歳、体重126キロ」ってディテールに反応して手に取ってしまった。私事ながら歳が一緒で最近太り気味。こういう本との出会いもある。
 で、「いい話」だよなぁ、と思いつつも、なぜか最後まで読み通してしまった、500ページ近いのに。過去と現在が交互の章立て、とか、旅ものでアメリカの風俗が楽しめる、っていう厭きさせない構成の妙もある。でも、なにに一体惹きつけられたんだろう?ってのが読み終わった今も実はよくわからない。
 まぁ、アメリカの普通の家族を襲った悲劇、そしてその後遺症から逃れられず、自堕落な日々を過ごす主人公。父母の死を転機に、煙草とビールとテレビの生活から、バナナと水と自転車の少年時代に回帰していく、ってストーリー。ダメ人間の俺だけど、なぜか幼なじみはずっと自分を見つめ続け、愛してくれていた、っていう。うーん、ここかな。この小説のノーマっていう幼なじみはちょっとベタつく感じで、うっとおしいところもあるんだけど、“なんでか理由はわからないけど愛されてる、とか、評価されてるってことの希望”ってのが主題であり、惹きつけられる部分なのかも。ほら、そういうのが根拠レスな自信につながる訳でさ。状況的にはサイアクでも、そういった過大評価とか偶然とか根拠レスな自信が、状況を変えていく訳で...まぁ、俺だったら、幼なじみの愛なんかに縛られずに、さらにもう一歩前進して、旅先で知り合った若い娘とねんごろになっちゃうけどな。この主人公は、旅先で、何度も濡れ衣を着せられるほど要領が悪い奴なんで、そんなワルいこと考えないんだけど。
 “愛したいって欲望よりも、愛されたいって欲望よりも、愛されたいと思わずになぜか愛されてしまう奇跡”ってとこかな。