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では、どうやって子孫を作るのか?
彼女達は、一年に一度だけ陰の宴というお祭りを開き、その時だけは、男の侵入を許す。そこで他部族の男達を呼び寄せ交わるのだ。
では、生まれてきた子供が男だったらどうするのか?
泉の部族には、代々産み分けの技法が備わっているので、ほとんどの場合、女の子しか生まれない。しかし、万一失敗した場合には、父親の部族のもとへ子供を預ける。
争いの原因となる男を排除し、他部族との交渉は陰への参加を切り札にして有利にすすめるこの仕組みはうまく機能していた。しかし、スペインからの侵略者を機に、大波乱が引き起こされた。
上下2段組で、500ページになる長編物語。アマゾンを拒み続けていたスペインからの侵略者ヘレスは、悪行の限りを尽くし読み手に憎しみさえ感じさせるほどであったが、最後にはアマゾンに慣れてしまい新しい部族まで作ってしまう。その過程をごく自然に描いて見せた筆者の力には感服するばかりだ。物語後半では、死後の世界まで作り上げている。多少読みづらいが、現実とはかけ離れた幻の世界は美しくもありどす黒くもある。感動する本ではないが、とてもおもしろくお勧めの本だ。
が、快進撃だったインカと違って、アマゾン流域では彼らも思うように進めなかったというのは知らなかった。あれだけ動植物の豊富な場所で餓死というのは驚きだが、その場所に合ったノウハウを持たない文明人は非力なんだな。
それでも男の沽券にしがみつくマッチョ男たちには失笑するが、読んでるうちに、マッチョのバカ男の典型へレスが、だんだんかわいく、かつ哀れを誘うようになってくるから不思議だ。
余計なお世話の父権的温情主義で、わかった顔をする男より、馬鹿な分たたきなおしやすいからかも知れない。(そのためには赤弓のごとく、女の方にマッチョ以上の肉体的力が必要だが…)
このマッチョ男にほれてしまった守護精霊「森の娘」が禁を破って部族に男を引き入れてしまい、少しづつ女達の結束は崩れていく。
ヘレスに振り回される「森の娘」は「なんでなんな男に…」という典型だめんず。それまで立派な精霊ぶりを示してきただけに、ギャップが激しい。しかし後半「森の娘」の過去がわかると、少女神なんだなーと納得。
失踪した「森の娘」を探しに行く姉妹のあたりは、一途でかわいい。
オンサの部族の正体というのが哀しく、男だけとか女だけとか、単一方向のシステムでは救いきれないものがこぼれていくようだ。
生贄の必要ないユートピアは作れるのか?それは出来上がったとたん地獄になるのか?
アマゾン流域の生命の混沌は、ユートピアと地獄が背中合わせで共存している世界だ。しかしこの現実世界も、同じかもしれないと思う。
重厚でスピリチュアルなストーリーに私は引き込まれ、強い印象が記憶となって余韻を残した。
印象としては、中南米の「もののけ姫」って感じ。
濃密なファンタジーを読みたい方には、特にお奨めだ。
ところで、派手な表紙でそれほど分厚くないこの本だが、紙が薄手で2段組420頁余りある上、文字もさほど大きくなく、見た目より以外と物語は長い。内容の濃さと長さが、あなどれない長編である。
覚悟して物語の世界に飛び込まれよ・・・こちらの世界に戻れないかも・・
でも、それだけでは言い尽くせない濃厚でいて、どこか清清とした物語。
本を読んでいて、どこか入り込めない作品も多い中、ページを開けばそこはディズニーランドの魅惑のチキルームのよう。作品の行間から、濃厚な緑の香りや雨音、風の匂い、虫の羽音や動物の鳴き声、河の流れる音が洪水のように満ち満ちて自分が何処にいるのか忘れさせます。
「陰の宴」と呼ばれる他部族の男と、アマゾネスである泉の部族との受胎のみを主とした結びの儀式から物語は始まり、部族を守る大弓部隊の部隊長である赤弓、精霊の森の娘をはじめ登場人物たちはみな、心の深い場所に悩みや悲しみを抱いています。部族間の戦いはなぜ起こったのか、精霊森の娘の過去にまつわるエピソードなど、物語は熱帯の植物が絡まり合うように進んで行き、すべてが癒され昇華していきます。
読後、やわらかく、あたたかなものに包まれて、癒されている自分に気付くことでしょう。

