八日目の蝉
作者 角田 光代
価格 1,680 円
出版社名 中央公論新社
出版年月 2007/03
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    第2回 中央公論文芸賞  受賞
    本屋大賞 2008年   受賞
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか−−理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。家族という枠組みの意味を探る、著者初めての長篇サスペンス。

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■読者の評価     おすすめ度平均

直木賞作家・角田光代の “泣ける”感動作       おすすめ度
もとは’05年11月から’06年7月まで「読売新聞」夕刊に連載された、直木賞作家・角田光代の“泣ける”感動作。檀れい、北乃きい出演によりNHKでドラマ化され、’10年春放映された。
ドラマを観て感動した妻が「BOOK OFF」で見つけた原作の単行本を私も手にしたわけである。

不倫相手の乳幼児を誘拐し、3年半も逃亡生活を続けた野々宮希和子。彼女により薫と呼ばれて暮らし、希和子逮捕と共に本当の親元へ帰され、今は大学生となった秋山恵理菜。しかし恵理菜もまた妻子ある男の子供を身ごもる。

希和子と薫の逃亡生活を三人称で1章、2章では一人称で主に恵理菜のことを描きながらも希和子事件の実際のあらましにも触れている。この小説からは、このふたりの“母性愛の強さ”を感じないではいられなかった。世間一般には「犯罪」として、また「愚かな女」として「間違ったこと」をしたシチュエーションだろうけれども、すべてを捨ててもただひとつの大切なものを守りたいという思いが行間から切々とうかがわれるからである。

新聞連載小説でありながらこれほど魂が揺さぶられる物語を読んだのは、吉田修一の『悪人』以来であった。
とりわけ、ラスト数ページの希和子の描写が、ここまで読んできた者のこころをしっかりと捉えており、言葉ではいえないほどの余韻を残している。


前半の緊迫感が最後まで続けば.....       おすすめ度
本作は読売新聞の夕刊に連載されていたものだが、連載終了後の紙上インタビューで角田氏はこう述べている。「私はロクでもない男を愛人にする女、その愛人の幼児を誘拐する女の心理を理解出来ない」。気負いのない清々しい発言だと思った。読者が本作の世界を、作者と同一のスタートラインに立って読める所以である。

インタビュー通り、ヒロインの"心の闇"(何てあやふやな言葉)を暴き出そうとの驕慢な姿勢はない。むしろ、作者はヒロインと行動・思考回路を共にしているかの様である。紙オムツ、ミルク、風呂入れ、離乳食など、子供を持った人なら誰でも経験する瑣事を丹念に描く一方、ヒロインの狂気を自然な形で映し出す。ヒロインが「...私には分からない」と呟く時、作者の胸中も同様だったのではないか。ヒロインが時折垣間見せる狂気を除けば、あたかも日常を描いているかのような筆致なので、読む側と作品との間に距離感が無い。一方、作品が醸し出す狂気が次第に堆積して行き、息苦しさが増す。

宗教団体の部分はやや疑問。世間から隔絶された世界が必要だったのだろうが、物語が別の方向へ行きそうで、この部分で気が逸れた。続く小豆島での生活が本作のハイライトであり、牧歌的日常の中に潜む静かな狂気と危機感を描いて圧巻だと思ったが...。続く薫の章は必要だったのであろうか ? 「誘拐が子供に与える影響の深さ」、「実子が戻った事に依る家庭の崩壊(元から崩壊していたが)」、「誘拐犯の子が選択する、犯人と似て非なる前向きな人生」と言ったありきたりの内容が書かれているだけ。本作を通して、「家族のあり方」や「人生の意義」を問い掛けると言う趣向は分かるとしても、前半と比べ平凡に堕する感は否めない。常に前向きな姿勢を見せる作者らしい結末とも言えるが、本作の場合、"終らせ方"に何か一工夫あっても良かったのではないか。


ふたつよいことさてないものよ       おすすめ度
「自分の環境は、選べるものと選べないものがある」そういう当たり前のことを再確認させてくれた作品でした。
設定が奇抜で感情移入出来ないかと思って読んでいましたが、徐々に2人の主人公に引き込まれていきました。
hopelessなようでhopefulな作品。
自己の現状に疑問を感じている人に、過去への諦め・許容と未来への希望を感じさせてくれると思います。
角田作品は他に「対岸の彼女」や「空中庭園」を読んで私の好みではなかったですが、この作品は一味違うと感じました。


強い母の愛とか言いますが       おすすめ度
そもそも誘拐したことがダメなんじゃね?って読んでる間ずっと思ってました。
絶賛のレビューが多いですが僕は終始そう思いました。
いくら薫に深い愛情を注いでもそのことが引っ掛かって共感や感情移入できませんでした。
あと誘拐するときの描写がさらっとしすぎ…。鍵空いてるから中入って抱いて走り続けるって…。
逃亡する緊迫感はドキドキだったんで☆二つにしました。


エンジェルホーム       おすすめ度
ドラマを途中まで見てから本を購入して、一気に読んだ。

エンジェルホームは、最初は「なにそれ」と思ったけれど、読み進むうちに、社会で居場所のなくなった女性の精神的よりどころになる場所として結構現実的に必要なのかも、と思えるようになった。女性は男性と違って社会的地位がまだ低いから・・・。

もしかして、本当にエンジェルホームみたいな施設があるのかもしれない、とも思った。需要はあるはずだから。