良寛 (中公文庫)
作者 水上 勉
価格 940 円
出版社名 中央公論社
出版年月 1997/07
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独特な良寛の評伝       おすすめ度
 独特な良寛像である。特に、子供たちと遊ぶ良寛に、深い悲しみがあったはずだと考えたことは類書にないことである。良寛が、病気や飢饉で死んだ子供、貧しさの中で間引かれた赤子、売られた娘たちのことを忘れていたはずはないだろう。良寛はこのようなことを語らなかったが、水上は想像によって従来の良寛像を補ったと言えるのではないか。
 ただ、評伝全体としては良寛を描くにあたって、あまりに水上勉の視点が強いように思えた。水上は人間の苦しみや、醜さ、悲しさを理解し、描く才能を豊かに持っている。彼はある意味で、優れた凡夫とも言える。しかし良寛は我々凡夫の理解を超えるような偉大さも持っている。それをわかって、謙虚に描くことも必要であったのではないかと思う。