物語が、始まる (中公文庫)
作者 川上 弘美
価格 580 円
出版社名 中央公論新社
出版年月 1999/09
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■読者の評価     おすすめ度平均

「淡々」てやつ。。       おすすめ度
三郎さんの正体不明っぷりが、さすが川上。
てか彼女、人が出逢ってから別れるまでを書くのホント上手。
しかも淡々とした別れ。
本当に本当にただ好きって人と別れると、
そゆ風に「淡々」な思いをするものなのかなぁ。


愛情は、育まれていくんだなあ       おすすめ度
公園の砂場で拾った雛形と私のコミュニケーションを描く物語。

岩波国語辞書で「雛形」を調べると
(1)実物をかたどって小さくしたもの。模型。
(2)書類のきまった書き方などの見本。書式。
と書かれている。

川上さんの描く雛形は、(1)に近いだろうか。
成長する肉体と知能を持つ、かなり進化型の模型と考えてもらえばいいだろうか?
とにかく、雛形と私のコミュニケーション、雛形と私のこころを描いている。

愛は、無条件に、ただそこにある。
愛情は、育まれていくんだなあ。
そして過去は、物語に変わる。


表題作、とても良い       おすすめ度
 川上弘美氏の、いわば若書き的作品集。
 この本の魅力は、やはり表題作に尽きる、と思う。
 若書きだけあって文章のむだも今より少し多い(今、氏がこれを書いたら、原稿用紙70枚くらいに納めるのではないか?)のだが、氏の作品の魅力は、ここに余すところなく詰まっている、と思う。特に「蛇を踏む」「龍宮」「溺レる」あたりの系譜に連なる、「あわあわ系」でない作品群について。
 特に、雛型の成長過程――主人公に対する言葉遣いと視点の経時的変化――は、氏が過去に経験した事象(恋愛、育児)に対する観察眼と、持ち前の無限のイマジネーションと言葉選びのセンスが高いレベルでの相乗効果をもたらし、「ななめ読みしてファンタジー、真剣に読んで純文学」という、稀有な特徴をこの作品に与えている、と感じる。
 それに比較して、後の3篇は文章の流れや、言葉の選び方も若干陳腐、平板であり、「蛇を踏む」「龍宮」あたりの諸作品と比較すると遜色がある。
 氏の世界に共感できる読者のための、作品集である。入門書ではない。


切ないとはこういうことなのかと思いました。       おすすめ度
川上さんの本を初めて読んだのがこの本でした。
表題作「物語が、始まる」は、こんな登場人物ありなの?
と思ったのが最初です。
主人公の女性が雛形を拾う話ですが、雛形とはどんなものなのか
わからなかったので、辞書で調べました。
雛形とは、普通の生活上では使わない言葉だと思うのですが、

それをメイン人物(?)にしてしまう川上さんは只者ではないと思いました。

読後感は、切ないとしか言いようがありませんでした。
今までたくさんの恋愛小説を読みましたが、
その中でも私の中ではトップの方に位置するお話です。
今まで体験したことのないような気持ちでした。



雛型であること       おすすめ度
「物語が、始まる」を一番面白く読んだ。
ほかの作品は後半に入るとどこか異世界へ行ってしまったようで、
少々難解でした。
雛型の三郎という存在をどのような姿で創造するか?
言葉どおりのうつろなマネキンのようなものか。
それとも人間社会に混ざれるくらいには人間らしいのか。
そんなことを考えるとまた、主人公と雛型の関係が

いろいろと想像できます。