犬の人生 (中公文庫)
作者 マーク ストランド
価格 620 円
出版社名 中央公論新社
出版年月 2001/11
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■読者の評価     おすすめ度平均

不思議で笑えて深い話       おすすめ度
父子の関係を描いた不思議な話にはじまり、二話目で大笑いし、そこで完全にやられた。その後も奇妙な、不可解な話が続くが、最後には考えさせられた。「殺人詩人」!これは他の話とは趣が違って感じられる。昨今の事件の犯人の心性にも通じるところがあるのではと思ってしまいたくなるような不条理ななかにもどこか人間的なつながりを求めている姿がうかがえたりして。いや、全く見当違いと思うが。いずれにしても非常に深い。


論理と幻像のすき間       おすすめ度
優れた短編作家に共通するもの。それは、人生、生活、感情、思考に対する人間が関与している空間を切抜く作業が、優れているか否かで決まると思う。「犬の生活」という作品を代表とするこの短編集には、どの作品を通じても、私たち普通の生活者が見抜けない刹那、虚無、深愛などが見事に浮き彫りにされている。一見、散文調に見え、読解への視線がまだ定まらないうちは、どこか不思議な印象だけが先行すると思うが、しかし、一文一文の濃密さ、的確な単語表現、描写が論理性を持って繋げられているので、明確な映像として彼の世界を受けとることができる。翻訳が村上春樹ということで、文章自体が非常に読みやすく、また、作者、小説への思いやりを感じられることも二重のよろこびである。


詩人としての感受性の鋭さ       おすすめ度
アメリカ現代詩界を代表する詩人、マーク・ストランドによる初の短篇小説集。表題作をはじめ、不思議な感性によってつづられる小品14篇を収める。

詩人としての感受性の鋭さを如何なく発揮して書かれている、という印象を受けます。言葉が生きていて、読んでいるうちに文字が不思議な生命を帯びて躍りだす、という感じでしょうか、短篇というより、散文詩といったほうが近いかもしれません。わたしは読んでいて、物語とは直接関係のない雑多なイメージが次々と浮んできては消えていく、という感覚にとらわれました。イメージがとてもビジュアルで、微細な感情の動きをいやみなく、スムーズな文章でとらえていくところがとても鮮やかです。言葉の美しさを感じられる本。



不思議       おすすめ度
不思議な短編作品の集合体。としかいえない。とにかく不思議。


散文詩のようなお話       おすすめ度
アメリカにこんな短編を書く人がいたとは知りませんでした。幻想的というよりもっとつかみどころのない感じで、ふわふわした透明な夢のような感じ。作者は詩人だそうですが、確かに詩人が書いた短編という感じがします。アメリカの作家でシュールというと、ちょっとえぐい前衛的でポップな短編を想像しますが、この人は透明なガラス細工のような文体がとても美しく、心地よいシュールさが楽しめます。訳者があとがきで書いているように、ストーリーよりもイメージの遊びが主で、あっけに取られるような不思議な短編ばかりです。不思議でシュールで、詩的で、ちょっとユーモラスな、そんな作品集。小説通のあなたは是非ご一読を。