あるようなないような (中公文庫)
作者 川上 弘美
価格 620 円
出版社名 中央公論新社
出版年月 2002/10
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■読者の評価     おすすめ度平均

こんな日があってもいい。       おすすめ度
川上弘美さんの本を読むと、現実と折り合いをつけるのに疲れたら、思いっ切り自分の世界に浸ってもいいんだ、という気になります。
このエッセイも、いいんだ、自分がこんなに変でも、いいんだ、いろんなことが不器用でできなくても。という気になりました。
驚きは、作文が苦手だったこと。高校3年で、創作で内容をでっちあげる?までは、えんえん赤ちゃんだった弟さん(当然どんどん大きくなっていく筈なのに)のことを書き続けていた、それほどまでに作文が苦手だったということです。
また印象的な話は、「こまること」で、春になってしたくないのについつい春の陽気につられて挨拶してしまってきまづく世間話をするくだりもかかれており、正直だし、いいな、と思ってしまいました。


言葉にならない感情を文字にする       おすすめ度
川上氏の小説は、どこかのんびりしていて、どこか幻想的で不思議な味わいなのですが、このエッセイ集もそんな雰囲気が漂ってきます。言葉にならない感情を文字にしてしまう、川上氏は玄妙なワザを持っているのかもしれません。とかく、説明のつかない懐かしさがこみ上げてくる、お勧めの一冊です。


人を喰ったようなそうでないような       おすすめ度
 いきなりカワカミさんの小説を読まずにこのエッセイから入ってしまいましたが、これを読んだら、カワカミさんの小説読破したくなりました。

 感性や感覚だけで書かれたエッセイではないのは確か。(エッセイってどうも感覚だけ、っていうの、多いんですよね)五感だけじゃなくて脳みそも使いつつ、考えつつ、でも感覚も使ってる。それは、狙ったような、異次元的不思議世界。川上さん、書いてるの楽しんでるな、と思わせる書き方。人を喰ったような面白いエッセイです。

 確かに理系人間的発想といえばそうかも。でも大丈夫、もろ文系人間の私でもはまりましたから。



なんとなくオカシイ       おすすめ度
エッセイを本業とする人の作品と違って、小説家のエッセイというのは出自がどうもいかがわしい。所詮は小遣い稼ぎの雑文、というイメージが私にはあるので、ずいぶん長い間私はこの種の本を手にしなかった。これを読んだのは、ひとえに作者が川上弘美だからである。

最初はなかなか頭がエッセイ用に働かず、苦労した。慣れてくると、けっこう楽しめた。この人の「エッセイ」には明白な「うそ話」が含まれているので、本当らしく書かれている文章も、どこまで本当なのかよくわからない。ともあれ発想の仕方が理系的なオカシサに満ちていて、自分自身理系の人間である私には、この発想法はとても共感できる。この人、ものすごい変わり者だけど、近くにいたらきっと気があっただろうなあ、と考える。そして、こんな変なことを考えながら、日常生活をきちんとこなしているところが、いかにも正しい理系変人である。このあたりが「怪しい」オタクさんたちとの違いである。

文章も上手いが、ウマが合う、という点で高得点。したがって、星5つは私の個人的感懐であり、性格が合わなければ読みづらいこともあるだろう。



不思議なエッセイ集       おすすめ度
「先生の鞄」で有名な川上弘美の初エッセイ本の文庫化。
相変わらず文体や雰囲気はそのままに日々感じていることが描かれている。
小説を書くようになったきっかけなど、どれも興味深く、一つ一つが短いので読みやすいです。
私は好きな所から読んでます。