黎明に叛くもの (中公文庫)
作者 宇月原 晴明
価格 1,000 円
出版社名 中央公論新社
出版年月 2006/07
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■読者の評価     おすすめ度平均

これは、すごかった       おすすめ度
松永久秀の生涯を描いたものです。

松永久秀と斉藤道三は、イスラム教の暗殺術を伝えられた兄弟弟子。二人で天下を争うことを約束して、東と西に分かれます。術と策略を使い、一歩一歩上りつめる二人。そして立ちはだかる織田信長。

前半は、久秀と道三が、上り詰めるまでを描きます。後半は、久秀と信長の争いが中心になります。

三好家や信長との関係、美濃斉藤家の興亡、濃姫や明智光秀の生涯、謙信、信玄の死の謎、操っているはずの果心が・・・の謎、忍びの者・・。起伏が激しく、ワクワクな本でした。

幻惑の世界、術の世界、忍者の世界、歴史的な世界、など、いろいろな状況が描かれ長い本でしたが、全然飽きることなしでした。
伝奇歴史小説の楽しさが満喫できる本です。
これは、すごかったです。


長さに臆せず読んでみてください       おすすめ度
「聚楽 太閤の錬金窟」が風太郎の「妖説太閤記」へのオマージュだったのにたいして、本作は司馬遼太郎の「国盗り物語」へのオマージュとなっている。
恥ずかしながら、「国盗り物語」は未読である。斎藤道三といえば蝮の道三として有名であり、織田信長の義父だというくらいしか認識がなかった。
だが、本書でスポットを当てられるのは、松永久秀であった。懐かしい名だ。風太郎「伊賀忍法帖」に登場したこの悪名高い梟雄には特別の思い入れがある。
『此老翁は世人のなしがたき事三ツなしたる者なり。将軍を弑し奉り、又己が主君の三好を殺し、南都の大仏殿を焚たる松永と申す者なり』
と湯浅常山の「常山紀談」にも紹介されるこの破天荒な男は、信長の世にあって特異な地位をほしいままにした妖人であった。
本書は、そんな彼の生涯を綺羅星のごとき錚々たるメンバーとともに描きだした一大絵巻なのである。前回と同様本書にも伝奇的趣向は満載なのだが、なんといっても特筆すべきは久秀のあやつる傀儡である果心だろう。この自動人形と久秀のやりとりは、なかなか楽しませてくれる。イスラムから伝わった波山の法を会得している久秀にとって幻術はお手のものであるらしく、彼は様々な幻妖の術を見せてくれる。まさしく魔人松永弾正ここに在りなのだ。
歴史的事実は公然のことだから結果は見えているはずなのに、それでも先が知りたくて読んでしまう不思議よ。
しかし、本作は「聚楽〜」とくらべると、いささか助長なきらいはある。
もうひとつ付け加えるならば、久秀のいやらしさがもっと強調されてても良かったような気もする。そういう不満があるにしても、これだけ長いと読んでいるだけでなんとなく愛着がわいてくるから不思議だ。ページを開くのが楽しみになってくるのだ。