自殺自由法 (中公文庫)
作者 戸梶 圭太
価格 820 円
出版社名 中央公論新社
出版年月 2007/11
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■読者の評価     おすすめ度平均

さすがかな笑       おすすめ度
戸梶さんの作品はいつもかなり面白いのだが、今回の作品も同様で息つく暇もなくザァーっとよんじゃいました。

生と死の価値観、その観念がかなり自殺自由法というものによって人々の意識の中で表面化していく、確かに現実はある意味で誰も自殺を禁止なんてことはいっていない、そもそもそういった類のものでもないから、しかし逆に法的に認めてしまうとどうなるか。
これがまた面白い。

この場合生と死は等価値というよりも、奇異だった現実が実際的なものとなったときの、死への大衆の傾倒が見事に描かれている。

僕はこの現象を大衆化と呼んでいいと思う。現在の日本における大部分の出来事、物、価値観さえもがこの大衆化のなかにある。いわば、いい例えではないが流行。

リーズナブルな生命。そして、それを支える(民主主義的)秩序。

リアリティとはまさにこのこと、現実を無視しても表現は残るから。ならば受け入れることが向きあうこと。そんな風に感じました。

なんにせよ、良い作品でした。

ちなみに映画化したらおもしろいだろうなぁ〜なんて思います。


身も蓋もないリアルさ       おすすめ度
公共自殺幇助施設「自逝センター」を利用することで、いつでも好きなときに個人の自由で自殺をすることができる。「死ぬ自由」が保障された世の中になったとき、人はどのような行動をとるのか?社会はどう変わっていくのか?そして、人生の意味はどのように書き換えられるのか?本書はこうした問いに対し、小説という思考実験の場を用いてひとつの解を示しています。まさに「問題作」と呼んでよい一冊。

社会的弱者に対して執拗に「自逝」をすすめる自治体。「自逝」をビジネスに組み込んでいく会社。一族の体面のために息子に「自逝」を進める家族。「自逝センター」は常に人であふれ、順番待ちの列が延々と続く。個人の命の重さは極限まで薄められ、「自逝」の価値(=商品的価値)すら薄まっていく。「死んじゃえばいいじゃん」で全てを済ませることができる社会において、「人間の尊厳」や「命の尊さ」はただの飾り文句に成り下がり、安っぽい未来への希望など何も意味を成さなくなる。

本当に、もう、身も蓋もない内容になってます。そして、命の軽さを表すかのような、文体の異常なほどの軽さも印象的です。

本書は、現代の日本において、書かれるべくして書かれた本だと思います。今だからこそ、読むべき一冊。ぜひご一読を。