雛の家 (中公文庫)
作者 久世 光彦
価格 880 円
出版社名 中央公論新社
出版年月 2008/01
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■読者の評価     おすすめ度平均

夢がなくなる時代に、夢を追い続けた三姉妹の物語       おすすめ度
 第二次世界大戦に向かう「夢がなくなろうとしていた」時代の中で、大店を背負う立場を自覚しつつ、そこから逃避して自分のアイデンティティとして恋愛にすがりつく母親と祖母を含めた老舗人形屋三世代の女性たち。
 当時の日本女性としては非常に強い存在だと思う。恋愛に立ち向かう姿勢といい、老舗を思う矜持といい、彼女たちの存在は輝いて見える。それぞれあまり恵まれない恋愛の様子と、三者三様の決意というのは、すごく力強くて清々しくさえある。
 この作品では恋愛対象の男性たちでさえ、象徴として一種の記号と化している。主役やあくまで女性たちである。普段は仲良く、時に意地悪な姉妹ならでは力関係や、日常の生活が男性作家らしからぬ細やかな観察で描かれている。もっと作品を読みたかった作家だ。