13番目の物語 上
作者 ダイアン・セッターフィールド
価格 1,890 円
出版社名 日本放送出版協会
出版年月 2008/08/25
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■読者の評価     おすすめ度平均

断たれた絆・・・「癒しと再生」の物語、「ジェーン・エア」へのオマージュ       おすすめ度
美しい装丁です。開かれた宝箱の中身・・・謎めいた品々の写真に、思わず手に取らずにはいられません・・・。書名の 「13」という数字も意味深。1964年生まれの作者のデビュー作ということですが、とても丁寧で緻密な描写が続くが、それだけに描かれていく物語の「異様さ」に引き込まれてしまいます・・・。

主人公は、父親の経営する古書店で古本に囲まれて育ち、至福の時を過ごしてきた女性「マーガレット・リー」。本を愛し、本と会話し、過去の人々の想いを見 つめ続けてきた彼女の日常がまず描かれる。(この辺は、本好きならば思わず引込まれる描写が・・・。)そんな日々の中から書き上げた「作品」が老作家 の目にとまり、作家の「伝記」を書くために赴くことになる・・・。

年老いて死を意識した有名女流作家「ヴァイダ・ウィンター」の語る「自ら」の過去は・・・暗く陰鬱で・・・切ない物語・・・。日々を共に過ごし、話を聞く内、マーガレットは作家の語りのなかの「謎」に気づき、解明しようと奮闘する・・・。

上下2巻の構成ですが、前半は「異様な」物語に圧倒される。後半はマーガレットの「謎解き」に付き合うため少々理屈っぽい展開の部分もあるが、驚 くべき「真相」の中に見えてくる老作家の悲劇的人生に思わず言葉を失う・・・。

語られるのは壊れた家族、その犠 牲となって苦しむ子供たち、不可思議な出来事と悲劇、断たれた絆・・・そして「癒しと再生」の物語か・・・。結末は非常に美しい!旅立つ魂、別れと出会い、癒される心、蘇る家族・・・。ほとんど神々しい情景のラストには癒されます。ああ・・・託された伝言・・・神秘の瞬間・・・。

特筆すべきは、作中で登場人物の心の支えとなる小説「ジェーン・エア」。この作品全体が、「ジェーン・エア」に対するオマージュのようにも思えますね。