作者 カート ヴォネガット
価格 903 円
出版社名 早川書房
出版年月 1995/10
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■読者の評価     おすすめ度平均

ウイルスについての記述はなし。       おすすめ度
 この世界では人類は「正体不明」のウイルス
(細菌だったかな?ま、どっちでもいいか、正体不明だし)
に滅ぼされかけています。
ありきたりな話なら、トム・クルーズみたいなひとが
何故か生き残り、不可能に近いワクチンを開発したり、
ブルース・ウィリスみたいな何でも出来る人が人類の存続を守る、
みたいなヒーローの逸話で終わりそうなものですが、
最後まで読んだ個人的感想は
「えー、こんな人が生き残っていいの!?(不謹慎)」でした。
筒見康隆のようなブラックジョークが好きな人にお勧めできますが、
ありきたりなSFに慣れてしまっている人は、アレルギーが出ると思いますので、
余りお勧めしません。
まー私としてはあまのじゃく的にそういう人にこそ手にとって欲しい本ですけど。
進化論についての知識は読む際の前提ではありませんが、
既出のレビューにあるように、ボトルネック効果(創始者効果か?)くらいは
知っておいてもいいかもしれません。



科学というより笑い       おすすめ度
「たまたま孤島に辿り着いた10人そこそこを残して人類が死に絶えました。さて100万年過ぎたらどうなるでしょう」

進化をネタにしたフィクションです。
作中に直接出てくる訳ではないけど、ボトルネック効果や断続平衡といった進化論的概念を土台に置いて話が練られています。

が、恐ろしく身勝手で極端に気まぐれな人間模様が実は本書の大半。その語り口が進化論的な皮肉に満ち満ちていて実に愉快。巨大過ぎる脳にそそのかされて滑稽に振る舞うヒトを哀れみ慈しむ。笑うに笑えない、でも笑わずにはいられない。こんな酷くて痛々しくてそれ故笑えるユーモアは他に類を見ません。
完全に偶然に左右されたそれらのどうでもいい出来事が、後のヒトという種にとって無視出来ない影響を及ぼす。
ここに本書の一番強い主張が潜んでいる様に思えます。


ただ、確かに進化論的エッセンスを盛り込んだシナリオではありますが、この物語(歴史)そのものに充分な論理的説得力を見出すのはかなり困難です。
つまり本書を読んでもあんまし勉強にはならないかと。

――えーとそれはつまり、とりあえず笑っとけばOK??
It's all right!!


糖衣で包んだ苦薬       おすすめ度
 生物学的な繁殖可能限界や、遺伝病問題なども考慮に入れた上で書かれたと思わしき「生物学SF」。読み過ごす人も多いと聞いたが、多様な遺伝子を強引に残すシーンが序盤にあり、故にリアリティが出てくる。
 そして、いかに「人類」が変貌するのか。予測ができたとしても、それでも魅力的な作品。


力作には違いないが       おすすめ度
長い長い予告編を本編にしたような作品。

ヴォネガット版「種の起源」はお馴染みのヴォネガット節に満ち溢れており、
部分的には十分楽しめるが、結局のところテーマには辿り着くことが
できない。
力作であることは間違いないのだが。


ヴォネガットは習慣性がありますので、購入の際はお気をつけて!       おすすめ度
いやあ こんな本を5回は読み返したと言うと我ながら「?」なんですが、ヴォネガットの作品の中でも、軽く、楽しく書いたのかなあという雰囲気が伝わってきて(本当はどうなんでしょうか)大好きです。
ディスカバリーチャンネルでも映像化されたFuture is Wild の視点にもつながる新人類たちの暮らし。馬鹿馬鹿しくて悲しいバイア・デ・ダーウィン号の乗客たち。ヴォネガットのまなざしはいつも誰にでも優しい。ヴォネガットワールドは交錯し、絡み合い、暖かい繭の中にいるような気持ちにさせられますが。今回のネタのひとつは(陸上の私はデブだが)「水中の私は美しい」という彼の思いがあるのだと思う。引退した女教師の孤独な影と気丈さには末期がんに苦しんで死んだ彼の姉の涙をさそう末期の一言「痛くない」を思い起こさせます。
ヴォネガットは習慣性がありますので、購入の際はお気をつけてください。