時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)
作者 小川 一水
価格 630 円
出版社名 早川書房
出版年月 2007/10
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■読者の評価     おすすめ度平均

まず言っておきたい。この本は買いだ。       おすすめ度
何処とも無く現れ人類を殲滅したETと
戦うために、人類が滅亡することの無い
未来を目指し歴史に介入し続ける戦士達と、
邪馬台国の若き女王、卑弥呼を軸として、
未来、近代、世界中のあらゆる時間を戦い、
そして圧巻の結末を迎える。

本の帯には、こう書いてある。

  私は2300年後の世界から来た。
  だが、ここの未来からではない。
  多くの滅びた時間枝を渡ってきた。

戦士達は生まれた世界に2度と帰れない。
過去への介入で未来を変えてしまうからだ。
まさにタイムトラベルの王道のストーリー。

人間らしさ、魂の揺れ動く様が繊細に描かれ、
この王道のようなストーリーに深みを与え、
登場する人物の表情も豊かにしている。

イギリスSFのような硬派な手応えと、
翻訳本には無い和風な舞台装置が見事だ。

間違いなく面白い。


小川一水もうまくなったなあ       おすすめ度
作者の小説を何冊か読んだが、文才はあるものの小学校の学芸会のような幼稚な
ストーリーに辟易していた。ところが、本作を読んで驚いた。なんと大人の物語に
なっていることか。はじめてマトモな小川作品に出会えた。

科学的に納得できるタイムトラベルSFは事実上無理であるとは思うが、本書はかなり
よく出来ている。タイムパラドックスの回避の仕方や、敵が人類を襲う真の理由なども
うまく説明できている。もともと、科学設定や筆力には定評があっただけに、
ストーリーがうまくなったので鬼に金棒である。ただ、邪馬台国のパートが読みにくい
のがやや難点か。今後、この調子で大作長編を描けることを願う。


手垢のついたテーマだが、読ませ方が上手い!       おすすめ度
まとめちゃうと、数百年後の未来から数十万年前の過去にわたって繰り広げられる時間戦争&バーサーカーのアレンジ。の割りには登場人物がかなり固定されていて、おまけにかなり悲しい方向の恋愛小説の体裁をとっているおかげで、感情移入しやすくてすらすら読める。時間モノにありがちな時制の混乱も最小限だし。

まぁ、主要舞台が邪馬台国って時点で勝ちは見えたよな。小川一水は、こういう手垢の付いたようなテーマを扱って新鮮に読ませるのも上手いなぁ。

時間は他世界解釈のバリエーションで、ちょっと都合よく捻じ曲げてある部分があるものの、まぁ、スペオペだと思って読めば(←考証にイチャモンをつけずに済ます魔法の呪文)。


楽しみましたが       おすすめ度
登場人物などなかなか面白い設定で楽しみましたし、ほとんど一気に読んでしまったのですが、あとから、よく考えたら、これってバーサーカーそのままだよね。
自己増殖する殺人ロボット、しかもタイムスリップして、祖先を殺そうとするストーリも入っている。
SFとしては、この辺り大いに割り引いて考えるべきですが、ライトノベルの類だと思えば、かなり満足。


なにかとっても惜しい気がして       おすすめ度
設定もストーリーがとてもよかったです。
でも、全体的にもう少し深みを持たせられたのではと感じてしまいました。
なんとなく淡白な印象でした。
それがよさなのかもしれないのですが・・・。
特に人物設定がいいだけに、
どうしても惜しい気がしてしまうのです。