作者 原 りょう
価格 735 円
出版社名 早川書房
出版年月 2007/12
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■読者の評価     おすすめ度平均

レトリックが全て       おすすめ度
オリジナルは2004年11月リリース。前作『さらば長き眠り』からおよそ9年空いた新作である。この新作の登場には早川書房社長の早川浩の力が大きかったようだ。

読み出すと久しぶりの沢崎の言い回しが懐かしく、それだけでかなり満足できてしまう自分に気がつく。つまり原作品のキモはストーリーではなく、沢崎の独特な(人はこれをハードボイルドと呼ぶわけだが・・・)レトリックにある、ということだろう。9年以上の作品は頻繁に登場する電話のシーンも公衆電話ばかりで、それが作品を古い感じのものにしてしまっていたが、本作ではついに『携帯電話』が登場する。よかった。

ストーリーははっきり言って大して驚かないし、面白いとも正直思わないが、沢崎の態度や言い回しを読んでいるだけで惹かれていく。最後のあとがきの沢崎の確定申告の場面などハードボイルドそのものである。なかなかだ。


9年間で得たものは何だったのだろう。       おすすめ度
いったい何のために9年間も休んでいたのといいたくなるような、
進歩のなさばかりが目に付く駄作。
次回作もこうだと、もうだめだな。


沢崎こそハードボイルドの見本と思っているあなた、
稲見一良の猟犬探偵やセントメリーのリボンを読んでみてほしい。
ハードボイルドとは、軽口ではなく生き方だと再認識するだろう。


男達の寓話       おすすめ度
チャンドラーばりの皮肉のきいた比喩、警句に彩られた、孤高の私立探偵・沢崎の物語。私も若い頃にチャンドラーを読みあさっていたので、このティストはかなりツボです。でも、宮仕えの哀しい業で言いたい事も言えず、付和雷同してきた男達が憧れる寓話なんでしょうね。さぁ、虚構の世界で精神を開放させましょう。