さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))
作者 レイモンド・チャンドラー   清水 俊二
価格 714 円
出版社名 早川書房
出版年月 1976/04
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■読者の評価     おすすめ度平均

現在でも時々読み返してます       おすすめ度
この作品に出逢ってなければミステリファンになってませんもの。
十代の頃純文学かぶれだった自分は、某ミステリの女王様や,出すもの何故か全てベストセラーの推理作家等の作品を読むにつけ失望していましたが、この矢鱈とキザったらしい有名タイトルを最後にミステリを卒業すべく手を出したのが間違いでした(苦笑)
完全にノックアウト!マーロウなる得体の知れない,まるで女以上に繊細で心優しい私立探偵は一体何者だ?
大鹿マロイって…今に到るも彼と類似したキャラクターには,メディアを問わずお目にかかった事がないです。ヘミングウェイ…架空現実問わずもがな,悪徳警官数多おれど、彼だけは唯一心寄せられる存在です。
レッド…マーロウの上をいく,愚かで心優しいチンピラです。

…チャンドラーは神です,ハメットが肌に合わなかった自分には特に。その後ロスマクに走っちゃいましたがね(笑)その挙げ句本格物にもハマり、ディクスン・カーも神様扱いしてますが(苦笑)
でも最後に帰ってくるのはいつもこの作品です。
正直某作家さんには、「長いお別れ」みたくこの「さらば愛しき女よ」だけには手を触れてほしくないですね。弄る必然性は皆無じゃないですか、ねえ?


フィリップ・マーロウの個性がひかる       おすすめ度
フィリップ・マーロウの個性が遺憾なく発揮されている作品。
刑期を終えて8年ぶりに出所したマロイが、かつての恋人・ヴェルマを訪ね行く。
そこに偶然、マーロウも居合わせてしまうことから物語が展開して行く。

レイモンド・チャンドラーの文章表現(乾いたタッチ)とマーロウの愚直なまでに自己のダンディズムを貫こうとする姿が、ラストで一気に盛り上がります。
「長いお別れ」も好きですが、「さらば愛しき女よ」も大好きです。


静かにそして諦念を持って生きること       おすすめ度
30代のはじめからチャンドラーを読み始めて、短編集なども読みました。
映画のイメージもあるのでしょうか?この作品が一番しっくりきます。
決してマーロウにはなれない私ですが、
この中にある男としての生き方、決して幸福でも不幸でもないが、静かに、そしてある種の諦念を持って生きる姿に共感を覚えます。
40代も色々あり、人生もあと残り5年かな?それとも10年かな?と思える日々。
それでも生きることに飽きることなく、マーロウのように淡々と、しかしハートの中にまだある熱いものを無くすことなく生きたいものです。


マーロウはそういう男だ。       おすすめ度
30ではわからない、50では、知りすぎてあきらめてしまう、40だとわかるものが
ここに書かれている。

マーロウは、偶然殺人事件に巻き込まれる。
その渦から出ることもできたのだが、

”この仕事から好奇心を除いたら、何も残らない。しかし、正直なところ、私は1ヶ月、
仕事をしていない。金にならない仕事でも、仕事がないよりはましなのだ”

と渦に飛び込んでいく。

”相手がへとへとになって音をあげるまで、タックルとエンドのあいだを何度でも突破しようと
するのね。”
マーロウはそういう男だ。



マーロウはやさしいね       おすすめ度
個人的にはチャンドラーの一番好きな長編。

私立探偵フィリップ・マーロウは冒頭で偶然にも刑務所を出たばかりの大鹿マロイの殺人を目撃する。マロイは昔の女のヴェルマを捜し求めている。その他の事件もひっくるめて、調査を進めるうちにマロイに同情的になって、最後にヴェルマに会わせる彼の優しさがたまらない。もちろん会ったところでお互いに幸せになれるわけもないんだけれどね(涙)。

さらにセンチメンタルなエンディングには目頭が熱くなる。ハードボイルドファンのみならず、心の乾いたひと、必読です。