ららら科學の子
作者 矢作 俊彦
価格 1,890 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2003/09/25
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    本屋大賞 2004年   受賞
    第17回 三島由紀夫賞   受賞
男は殺人未遂に問われ、中国に密航した。文化大革命、下放を経て帰国した男を匿う組織と蛇頭の抗争。30年ぶりに帰国した男が見た日本とは? そして、幼くして別れた妹の行方は? 『文学界』連載に加筆して単行本化。

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■読者の評価     おすすめ度平均

勉強になった       おすすめ度
外部からの視点として、今の日本がうまく表現されている。

また、学生運動ですべてを失った主人公の喪失からの再生の物語でもある。

ルサンチマン的な要素は否めないが、それでも学生運動当時のことをあまり知らない僕としては勉強になる1冊であった。


ハードボイルドなんて無縁だったから       おすすめ度
ハードボイルドなんて無縁だったから、初めて読了した矢作である。
子ども時代の妹や妻、女子高生との会話はなんだか懐かしい文体で、そうそうこれは東京山の手の若者を描いた、庄司薫の匂いだと思った。

17歳になるわが娘が、「面白いね」と言いながら半日で読み飛ばしたこの本を、私は一週間かけて読んだ。ディテールがそこそこわかるので、味わったり反芻したり、戸惑ったり時間がかかる。

50歳の「彼」の精神は、19歳の少年のままである。浦島太郎はおじいさんになるが、これは青春小説である。今はくたびれてしまった全共闘世代のおじさん達の心の柔らかな部分に、「彼」はいるのだろうか。「彼」の妹世代の私は、「傑」さんの存在が気になる。中国系ベトナム生まれで、日系アメリカ人を養父とするハワイ出身のヤクザ幹部。こんな人、いるのかなあ。

実は図書館でこの本を借りた。この一週間、無法者のストーリーに夢中になれた幸福は、国家と戸籍あってのこと?



!と?       おすすめ度
奇想天外な設定でどうお話が展開していくか、はらはらどきどき!させられました。
しかし(みなさんがご指摘される)訳もなく(としか読めない)つきまとう女子高校生だけでなく、失踪後30年もずっと彼をしたい続ける妹、年下の美しい妻とか実に虫のいい男のファンタジーにちょっとうっぷ。
また大けがさせた機動隊員への罪悪感の持ち方とか一回り下の私には大いに?でした。


読者として私は若すぎた       おすすめ度
学生運動の中、殺人未遂に問われ中国に密航した男が30年ぶりに帰国した。
文化大革命や中国の貧しい田舎での生活を経験してきた男が見た「現代の日本」とは・・・。

タイトルは「鉄腕アトム」との関連を匂わせますが、ほとんど関係ありません。
一部、アトムに触れている箇所もありますが、無理にタイトルへのこじ付けをしているようなあまり意味のない内容です。
アトム(もしくは手塚治虫さん)のファンの方が関連書と勘違いしてしまわないよう一応記しておきます。

よって、タイトルと実際の内容にはかなりのギャップがあります。
浦島太郎状態の主人公が今の日本を見つめるのに、やくざやその筋の組織の抗争まで絡んできます。
少し軽めのハードボイルドとイメージしていただければ良いと思います。

私にもそれなりに楽しめたのですが、日本が熱かった時代を良く知る50代くらいの方の方がより一層楽しめることは間違いありません。
この作品をどっぷりつかって楽しむには私は若すぎたというか、知らないことが多すぎた気がします。

そして女性の視点から見れば、主人公に絡む3人の女性の描き方が曖昧だった部分が残念です。
この辺の人間関係や描写がもう少し深ければ・・・。



都市小説       おすすめ度
中国から30年ぶりに東京に帰ってきた男。中国映画、東京の都市小説がごった煮になった感じは悪くなかったです。設定も情報の多さもたっぷり楽しめました。いわゆる学生運動という背景を持つ主人公ですが、国家との距離感、どこにも帰属しない浮遊感は、実は現代にこそ有効な気もします。例えば親友とは電話で、肉親とはテレビや本でつながる感覚、リアルです。一点、妹や妻も含め女性との関わり方がなぁ。これがハードボイルドなんですかね?