火天の城
作者 山本 兼一
価格 1,600 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2004/06
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    第11回 松本清張賞   受賞
信長の無理難題、甲賀者の妨害、相次ぐ天災などを乗り越え、安土城を完成させた岡部又右衛門以言と以俊。天下一の棟梁父子が挑んだ前代未聞のプロジェクトの全貌を描く。

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■読者の評価     おすすめ度平均

戦国時代の大工棟梁、その視点がすばらしい。       おすすめ度
本書は織田信長に仕えた熱田神宮の宮大工岡部又右衛門とその息子以俊が、
信長の威勢の象徴とも言うべき壮大な安土城を築き上げていく物語である。

まず、大工棟梁に視点を置いて戦国時代の気骨溢れる人間模様を描こうと
した試みがすばらしいと思う。
あの時代、自分の名を上げることが男の本懐であっただろうが、
岡部一門は築き上げた城こそ自分の分身であり象徴として、
そこに職人魂と大工とは言え例外ではない命の危険を掛けて挑んでいる。

木組みを作り上げたときに暴風雨を受ける最中で、
倒壊を心配する息子に父がこう述べる。
「この天主はわしそのものだ。倒れるなら、わしもいっしょに倒れる。それだけだ。」

壮大なプロジェクトの中、
総棟梁でもある父の背を見ながら成長していく息子。
半人前と見られることに反感を覚えながらも、
数々の妨害や災難・信長からの無理難題をその目で見ながら、
しだいに父が背負っている総棟梁の責任の重みを噛み締めていく。

華麗な信長の生き様を支えた地味で決して陽の当たらない大工たち。
信長軍団は戦上手と先見性だけで成り上がったのではなく、
その作り上げた適材適所・技術集団があったからこそ、
破竹の勢いで戦国時代を駆け抜けられたことが容易に想像できます。

それを支えた戦国時代の職人の本懐とは何か。

男気と愚直な生き様に心打たれます。



丁寧に書かれた歴史小説       おすすめ度
◆2004年の松本清張賞を受賞した作品。
織田信長が琵琶湖東南岸に築城させた安土城をめぐる物語。
熱田の宮大工、岡部又右衛門親子を中心とした筋立てで、
木曾谷の杣の頭、甚兵衛と大木の闘いも大切なプロットとなってい る。
また、六角氏と結んだ甲賀の乱破の暗躍、女乱破に翻弄される
又右衛門の息子などが描かれている。
◆章立てが細かく、全部で四十九章。
これは信長の享年四十九を意識したものだろう。
本能寺の変の際、又右衛門は本能寺にいたことになっており、
安土に戻って城を火付けから守ろうとする場面も織り込まれている。
築城後3年で焼失した安土城は
人間の夢と努力の尊さとはかなさの象徴として描かれている。
◆装丁は藤枝出身の画家・北村さおり さんである。
購入した理由は実は北村さんの名前を見つけたからである。
内容に関しては、よく資料にあたりわかりやすい文体で書かれてい るが、
飯嶋和一さんと比べると、今ひとつ、という気がする。
いずれにせよこれからが楽しみな作家である。


歴史の裏舞台を支えた男たちの気骨あふれる物語です。       おすすめ度
〜安土城築城を舞台にした歴史小説です。
桶狭間の決戦から本能寺の変までを、信長など武将の目からではなく、築城にあたった城大工を主人公として、ダイナミックに描かれています。
主人公は熱田神宮の宮大工から信長に取り立てられ安土城の総棟梁。築城という天下の事業とそれにかける気骨あふれるその情熱、そしてさまざまな人間と人間との葛藤、それらが〜〜激動の世情にのってドラマティックに描かれています。
情景描写が大変うまく、現存しない安土城とその築城に向けての様子が目に浮かぶように進んでいきます。
また、「木を組むのが大工なら、人を組むのが棟梁」のように、さまざまな思い、感情が出会い、対立し、向かい合う現場を差配していく姿も面白かったです。
ぐんぐんと読み進んでいく小説でした〜〜。〜


ひさびさの快楽       おすすめ度
久しぶりに、歴史小説の醍醐味を堪能させてくれた作品です。

織田信長の安土城を建設した大工棟梁親子の物語で、
建築ディティールの書き込みも去ることながら、
安土城完成まで、山あり谷ありの波瀾万丈。
ずっとハラハラしながら引きこまれてしまいました。

残念なことに、第132回直木賞には、
決戦投票で落ちたようですが、
受賞してもいいだけの値打ちはあると思います。

これだけ楽しめる歴史小説は、司馬遼太郎以来です。
この作者の将来に、大いに期待しています。



ひさびさの快楽       おすすめ度
久しぶりに、歴史小説の醍醐味を堪能させてくれた作品です。

織田信長の安土城を建設した大工棟梁親子の物語で、
建築ディティールの書き込みもさることながら、
安土城完成まで、山あり谷ありの波瀾万丈。
ずっとハラハラしながら引きこまれてしまいました。

残念なことに、第132回直木賞には、
決戦投票で落ちたようですが、
受賞してもいいだけの値打ちはあると思います。

これだけ楽しめる歴史小説は、司馬遼太郎以来です。
この作者の将来に、大いに期待しています。