Op.ローズダスト(下)
作者 福井 晴敏
価格 1,890 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2006/03/14
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■読者の評価     おすすめ度平均

おもしろい!       おすすめ度
レビューは賛否両論色々ですが、個人的には『亡国のイージス」「戦場のローレライ」同様(むしろそれ以上に)おもしろかったです。
ストーリーが毎回同じようだとか、主人公(傷を持つ若者)+年上の設定が一緒だとか、ガンダムに似てるだとかは作者の確信犯的な作風なのでそう思って読めばあまり気にならなかったです。
(それにしてもラスト近辺は完全にア・バオア・クーでのアムロvsシャアですね。)
むしろ下巻のお台場戦闘シーンの臨場感などは細部まで書き込みながらスピード感もあり、ここまで一気に書ききれる作家は中々いないと思います。
留美vsコブラの戦闘シーンなどは映像が目に浮かぶようで秀逸ですし、TPexとのタイムリミットを巡る攻防戦もサスペンス映画のようで手に汗握る展開です。
硬直した組織上層部が被害を拡大させるなど各種要因の組み合わせも上手いです。
主人公だけでなく敵となる5人のテロリストの個性、特徴もそれぞれよく描かれていて、没個性の悪役になっていないのも物語に奥行きをあたえています。
あくまでエンターテイメント性を忘れずに、現状の世界情勢(9・11後のアメリカ、北朝鮮、中国)を組み込んでいるのもリアルな世界観となっています。
作者の一連の作品(「亡国のイージス」「戦場のローレライ」)を見ると、東京へ向けての海を隔てての脅威が段々と近づいてくる過程となっていました。
今回ついにお台場という東京の水際が戦場となりました。次はいよいよ首都中央が戦場となるのでしょうか?


『希望』と『可能性』       おすすめ度
難しいことは分からずとも、手放しで感動できた。


夢、希望、言葉を共有した2人の少年が、
『国家に繋がれた犬』『半島から来た狂犬』となり、臨海副都心
で壮絶な破壊と再生の祭儀を行う。

難解な問題(政治、歴史等)はあるが、その実どこまでも少年漫画
のように熱く燃える話でもある。地下を駆け巡る高性能爆弾にはらはら
させられ、男の殴り合いに胸が熱くなり、最後の戦場でかつての
仲間と走り出したシーンには涙する。

その中で『新しい言葉』の話が散りばめられている。
可能性、夢、希望。そのことについて深く深く考えさせられた。

希望や可能性を求めている方には、是非ともお勧めしたい。


がっかりだよぅ       おすすめ度
どうしたんだ、福井晴敏。
わくわく、どきどきさせてくれる小説はないのか?
そんなときに遭遇したのが、『亡国のイージス』であり、『終戦のローレライ』であった。
この作者の書くものなら間違いがない、と思って買ったのが今回の『ロースダスト』だったが、つまらない。
ワンパターン。はっきり言って、この一言。
あんまりガッカリさせるなよ!
だらだらと理屈を捏ね回し、必然性が全くない。
やっつけ仕事はいけませんぜ。


とても、難しいけれど…       おすすめ度
『亡国のイージス』、『終戦のローレライ』の作者と言う事だったんですが、済みません…知りませんでした。(-_-;)

上記の作品の名前はもちろん知ってるんですが…名前のみ…
映画にもなりましたしね。

P.600を2冊。長かった〜。
そして、すっご〜〜〜〜〜く難しい話です。
日本経済とか、歴史とか、日米安保理とか、アジア情勢とか、
いろいろそんな事が分かって無いと…

公安の仕事がなんであるかを今回初めて知りました。(^^;
自衛隊の仕組みとかもね。もちろんフィクションも多いとは承知だけど。

描かれている言葉が難解で、日本語忘れの激しくなってる私には辛かった。
1度目の振り仮名で読んでもしばらく、読み続け2度目が出てきた時に
止まってしまったり…(-_-;)
意味が分かってても読めない熟語もたくさん。
日本語って難しい言語だと再確認しました。

右翼・左翼に付いても何となくしか知らずにいて、今回勉強しました。
物語の背景、語られる言葉、全て難しいので、『読み取り』も難しくなってしまった。

でも面白いお話でした。
今の日本の状況をリアルに背景に描いているので、「絶望的な今の日本」が
哀しく感じられたり、考えさせられたり…。
「新しい言葉」「希望」を胸に頑張れる、自分の言葉で考えて、
物事を言えるようにならなければね…。まずは個人が、そして日本全体が。


とりあえずのベスト       おすすめ度
 痺れました。お台場の臨海副都心が戦場となり、Tpexという新型爆
弾がたて続けに地中に仕掛けられ、崩壊寸前に至るまでの記述は、良質
の特撮映画をも超える圧倒的な迫力がありました。これまでわたしは、
福井晴敏のベストは作者のモティーフを淀みなくかつコンパクトにまと
め上げた『Twelve Y.O.』と思ってきましたが、彼は本作でそれを一歩
踏み越えたように思います。
 ただし、ナショナリズムと普通の人々の暮らしやギリギリの場での善
意というデビュー作以来の基本的な対抗軸は不変としても、作を重ねる
ごとに力点が微妙に後者にずれてきているように思います。そのせいで
しょうか、本作でのテロリスト達の行動の動機が不明瞭に感じられまし
た。これは、わたしの読み違いでしょうか。
 ところで、本作では「新しい言葉」が文字どおりキーワードになって
います。わたしは、ものごとを考えるようになってからずっと小国主義
者を自認してきました。しかし、この国がこれほどの大国になった現
在、単にその先駆者である石橋堪山や小田実などの論説を祖述しただけ
では、何の説得力も持たないでしょう。その中身をその精神から始めて
新しい言葉で語り出すことの必要を、本書を読みながら痛切に感じまし
た。率直に告白しておきます。