一応の推定
作者 広川 純
価格 1,500 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2006/06
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    第13回 松本清張賞   受賞
轢死した老人は事故死だったのか、それとも重病の孫娘を助けるために自殺したのか。ベテラン保険調査員・村越の執念の調査行が、二転三転の末にたどり着いた真実とは? 巧みなプロットで描かれたミステリー。

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■読者の評価     おすすめ度平均

保険金絡みの事件の難しさ       おすすめ度
保険金に絡んだ事件の調査は大変だとは思っていたが、その難しさがとてもよく表現されていたと思う。孫が病気で手術にお金が必要な状況に置かれていた場合、損保会社の竹内のように先入観で自殺だと決め付けてしまいがちだが、保険調査員の村越はあくまで冷静だった。この状況でも客観的に自殺・事故の見極めを行い、最後の最後まで事故の証拠を探し最終的に事故の見解を導き出したのは立派だった。ストーリーとしても目撃者が他人の名刺を渡したり、名刺の人物が行方不明だったりと一筋縄でいかない展開がじれったくてとても惹き込まれた。


後味のいい話       おすすめ度
孫娘さんが、海外で移植手術をしなくてはいけないのですが、

なかなかお金が集まらない。

で、傷害保険に入ったばかりの老人が、ホームから転落して轢死。

保険会社は、自殺なら保険金は払わない。

ということで、調査員が・・・

というストーリー

久しぶりに、後味のいい話でした。

派手なアクションもどんでん返しもないけど、

まさしく、松本清張の世界。じっくりとした読み応えです。


シリーズ化できそうな作品       おすすめ度
 落ち着いた描写力。保険調査の裏側がよく描かれており、自殺か事故かの判断を下すのに、あれだけの調査が必要なのかと、驚き、また興味深く読めました。保険調査の対象には他にもいろいろあるでしょうし、いろんなケースについて書いて欲しいと思いました。
そういう意味では、シリーズ化できそうな作品。
 ただ、読み終えて村越のイメージを思い描くのに、少々キャラクターとしての印象が薄いかなとも思いましたが、それが作品の質を落としていることには、なっていないでしょう。
次回作にも期待します。


地味なテーマながら、“読ませる”筆力はさすが       おすすめ度
’06年度、「第13回松本清張賞」受賞作。この賞は、ここしばらく歴史小説や時代小説が受賞していたが、今回久々に現代ミステリーが栄冠を手にした。

’06年、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第5位にもランクインしている。

JR膳所(ぜぜ)駅でホームから転落、轢死した老人。彼には心臓を患う幼い孫娘がいた。その命を救うための臓器移植には高額な費用が必要なのだという。死の三ヶ月前に加入していた傷害保険の支払いを巡り、保険会社から調査を依頼されたベテラン調査員・村越の執念の調査が始まる。

果たして老人の死は事故なのか、それとも自殺なのか? 定年退職目前の調査員による文字通り足を使った執念の調査行、終盤で二転三転する緻密なプロットはまさに“清張ばり”。

本書は、60才の新人作家・広川純の、デビュー作とは思えない的確で緻密な描写が光っており、地道な保険調査を軸に波瀾に富んだ人間ドラマが、著者の年輪を感じさせる筆力で活写されている。
圧倒的なリーダビリティーを持っており、全選考委員の賞賛を集めたのも頷ける傑作である。


村越(主人公)は著者の分身       おすすめ度
1946年生まれの団塊の世代である著者が仕事の現役を引退後(?)著して、みごと今年度の松本清張賞を受賞した作品。損保業界の舞台裏、専門用語「無責」などをたくみにもりこんだ秀作。

世相を反映したエピソード(小児の臓器移植のための海外渡航とその費用捻出のための
カンパ活動)や中小製造工場の倒産、「関節球体人形」が登場して
読者の興味は尽きる事がない。おしまいにはどんでん返しも用意されている。

また、業務で実際に出張されたのか、山陰の赤崎のひなびた風景の描写が、いい。
女性のえがきかたも巧みである。また京ことばが生きているのは著者が京都のご出身のせいか。
ほんわかしたあたたかいものが良く伝わってきて
推理系エンタメ小説ながら、技巧とかでないうまさがよく伝わってくる。
そのうちテレビドラマ化されることを期待しながら。