爆心
作者 青来 有一
価格 1,850 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2006/11
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    第18回 伊藤整文学賞  受賞
    第43回 谷崎潤一郎賞   受賞
私がだれでありどこからきたのか、六十年以上の時が流れて私にはもう調べるすべもない。わかっているのは私は昭和二十年八月九日十一時二分の白い光の中から現れたことだけである。私の戸籍上の誕生日はその日になっている(「鳥」)。被爆地で生きる人々の原体験と、その後の日常を描く作品集。

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■読者の評価     おすすめ度平均

完成度が高い作品       おすすめ度
これぞ小説!! と言わしめる短編集です。
登場人物はそれぞれまったく異なりますが、その根底に流れるのは
長崎原爆とキリシタン(過去の弾圧の経緯)が人々にもたらした「痛み」。
それが押しけではなく、ふわりと頬を撫でていく風のように、かすかな、
しかしいつまでもその余韻を感じる、そんな仕上がりになっています。

著者の以前の作品と比べて読み易い文体で、硬質な印象もなく、ポツポツ
と紡ぎだされたお話という感じでした。
信仰を持つが故の苦しみというものも感じられました。
素晴らしい作品だと思います。




卑小なるかな、いじらしきかな。       おすすめ度
漢字一文字をタイトルとする短編集である本書は、そのタイトルがテーマそのものとなっており明快この上ない。わかりやすい、そして自分の心に馴染みやすいがゆえ、哀しくもあった。長崎市役所の原爆関連の部署で働く作者らしい視点、そして忘れ目を背けたい一方で、決して風化させまいとする努力が伝わってきた。人間はいつの時代でも人間であるしかないのだなと改めて思う。
しかし、なぜ日本における「きりしたん信仰」というある種特異な中心地に、世界で二つしか投下されていない(今のところ)原子爆弾は炸裂したのか。祈りと怒りが静かに渦巻く土地、長崎。何か悲しい運命を感じてしまう。