もう誘拐なんてしない
作者 東川 篤哉
価格 1,260 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2008/01
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■読者の評価     おすすめ度平均

快調なロマンティック(?)ミステリ       おすすめ度
「とにかく最初の30頁だけでも立ち読みしてみて!」みたいな帯文句があるが、それだとゆるめのユーモアミステリとしか判断されないのではないだろうか。話はここまでは類型的だし。もしそこで迷っている人がいたら、ここからもっともっと面白くなりますと言ってあげたい。
ぐっと盛り上がってくるのはまさに30頁以降、視点が花園組サイドとのカットバックになってからで、身代金受渡しのトリックはシンプルで豪快、その後のツイストも鮮やかだ。特徴的なのは珍しく背景を実在地名で固めていることもあって、ロマンティックな映像効果が効いていること。真夜中の海峡が眼前に浮かぶようだ。それもあって、二組の男女をもう一刷毛だけ描きこんでおいたら余情とユーモアを兼ね備えた理想のミステリになったのになあと残念に思う。エピローグ抜きでスッパリ断ち切ったラストも生きただろうに(しかし実際こりゃ事件の収拾つけるだけであと1冊分かかりそうだが。超人的に的はずれな警部とか登場させたりして)。




肩の凝らない良質のエンタメ作品       おすすめ度
これも割りと面白かったかな。
なんていうか、
ところどころにギャグをちりばめ、
最後までクスリとさせることを忘れない作者のサービス精神に脱帽。
しかも時間のトリックも完璧で
なかなかの出来でした。

いたるところに張られた伏線も
しっかりと後で生きてくる。

サクサクっと読めるし、
肩も凝らないし、
エンターテイメント作品としてはいい作品でした。

が、が、
結局絵里香の妹の件はどうなったの?
そこが中途半端で
解決されてないし・・・。
警察にも追われていた翔太郎&絵里香はどうなるの?
事件の謎はしっかり解いているけど、
その背景が最後でぼやけてしまったのが残念でした。

何よりも皐月さん(絵里香の姉)のカッコよさが目立った作品でした。


『その後』も読みたかった       おすすめ度
ユーモアミステリ作家の贈る,ひさびさの書きおろし作品です.

特別におもしいろなにかがあったり,ギャグがあるわけではないのですが,
わざと『はずして』いるかのようなセンス,掛け合いに何度も笑わされます.
また,地方都市が舞台のため方言が多く,これも会話にいい味を与えています.
反面,この雰囲気が楽しめないようだと,「サムい」でおわってしまいそうです.

とはいえ,中盤以降はミステリの流れとなり,それまでのユーモアもしずかに.
決して派手さはなく,「やっぱりアレか」というところもあるにはあるのですが,
その『アレ』をはじめとし,何気ないところにあった伏線が拾われていくところは,
それまでのやり取りからはまるで想像もつかず,よい意味でまさかの展開になります.

ただ,『締め』がキレイ過ぎるというか,弱く感じてしまうのがなんとも残念で,
騒動のきっかけになったあることなど,いくつかが置かれたままの印象が残ります.
登場人物たちのその後など,エピローグ的なものが少しでもあればよかったような….

なお,単行本の扱いですがソフトカバーで,電車などでも読みやすくなっており,
また,ノンシリーズの作品なので,はじめての方にもおすすめの1冊だと思います.