たぶん最後の御挨拶
作者 東野 圭吾
価格 1,260 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2007/01
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■読者の評価     おすすめ度平均

東野圭吾ファンへの贈り物       おすすめ度
本書は、今や日本で一番売れている作家であろう著者の、
等身大のエッセー集です。年表や自作解説が付されているのも特徴です。

「容疑者Xの献身」で遅ればせながら著者を知り、
以来20冊以上読み漁ってきましたが、
本作には、押しも押されぬ人気作家にもあった不遇の時代、
「放課後」で乱歩賞を獲った後の度重なる落選、
自信作がまったく評価を得られないことへの葛藤、
それでもこつこつと継続して小説を書き続け、
「秘密」のスマッシュヒットなどを機に大きく羽ばたいていく様子が、
飾らない言葉やユーモアと共につづられていて好感が持てます。

同時に注目すべきは、乱歩賞挑戦に5年という期限を設けたり、
会社生活の経験を前向きに生かそうとしたりする計画性や努力、
さらには直木賞受賞の際の周囲への感謝といった、
著者の人生に対するまっとうなスタンスでしょう。
やはり著者は売れるべくして売れたのであり、今後も新作に注目したいと思います。

蛇足ですが、「時生」の「貧者のピザ」や、
「黒笑小説」の文壇ネタのルーツが垣間見られるのも、
一読者として嬉しいところです。



圭吾の歴史!       おすすめ度
東野さんの年表自分史が淡々と綴られていて、
あ〜、こういう経験してきたんだ〜とか、興味深かったです。
個人的には、劇団四季の会報のコメントが、とっても感動しました。
私も、同じことを感じたからです♪
やはり、凡人ではないんだな〜とあらためて思いました☆
すんなり作家になったようなイメージですが、やはり天性の才能+努力ですね!


作家・東野圭吾の貴重な自伝的エッセイ―東野作品をよりよく知るための手引きに!       おすすめ度
 東野圭吾は小説家であってエッセイストではない。だからこうした本の刊行を著者自身が心から望んでいるとはあまり思えない。エッセイの出版は本書で5冊目だ。「たぶん最後の」というタイトルもなかなか神妙。本書が絶対に最後だと「言い切っていない」からである。とはいえ、本書に収録されたエッセイは読ませるものが多い。「最後の御挨拶」という表題も十分に頷ける。でも私はやはり彼の小説を読みたい人間である。

 本書で特に印象的なのは、「年譜」と「自作解説」そして「映画化など」の前半部分の内容である。27歳の若さで乱歩賞を受賞してからの彼の作家人生は決して「青信号」ばかりではなかった。幾度となく受賞を逃し、その後も連敗記録を重ねていったことが率直に語られている。その苦労や粘り強さが現在の東野圭吾を支える原動力になっている。絶対の自信をもって出版した本がまるで売れなかったことも赤裸々に綴られ、なんだが不思議なくらいに励まされる。「あの東野圭吾にもそんな不遇の時代があったのか!」と読者は驚きの念を持ちつつ、本書を読み進める。そしてある重大な事実に気がつくはずだ。「それでも彼は小説を書き続けた」ことに。

 作者自身による簡潔な「自作解説」は有益というよりは、興味関心が尽きない。すべての著作を読んでいるわけではないが、作品に込められた作者の真意(魂というべきか)を読み抜いていたときには思わず作者とコラボレートしたような感覚になる。「読み方は自由」であるのがルールであり、それは彼の後半のエッセイで明確に述べられている。アイディアの一端を知っただけでも読者はその作品に親近感を持つ。最後に一言申せば、私は東野圭吾に心から感謝している。大袈裟な言い方をすれば、人生の幅が拡がったような気がするのだ。ひとまず彼の作品を読み終えるが、また再開したい。そのときには今とは違った「構え」で接し得るだろう。ありがとう、東野圭吾。


元気が出る一冊       おすすめ度
「あの頃ぼくらはアホでした」とこの本を読むまでは、作者はてっきり文学青年で、作家とし
ての王道を歩んできた方なのかと思っていました。今や日本のミステリー文壇を代表する作家
の一人になった作者がもともとは本嫌いで、若いころから将来を嘱望され、期待通りの作家人
生を歩んできたわけではないことを知って、平凡なサラリーマンの私も元気が出ました。もち
ろん、才能があったからこそ、ここまで来られたのだとは思いますが、壁にぶつかった時、東
野圭吾でさえも不遇の時代があった、と思えば、壁を乗り越えるための元気が出そうです。自
作についてのコメントや裏話が読めますし、これが最後のエッセイだとのことですので、東野
圭吾ファンは必読の一冊だと思います。ただ、エッセイというより自叙伝的な内容なので、著
書を読んだことがなくて、いきなりこの本から入ると面白くないと思います。エッセイとして
見ると内容は平凡です。あくまで東野圭吾が書いたものだからこそ価値がある一冊だと思いま
す。


才能       おすすめ度
 ご存知、直木賞作家の数少ない、そして最後の(?)エッセイ。小説にはあまり見られないが、全体的に関西人らしいユーモアがあふれており、非常に読みやすい。これまでの経歴や思い出、好きなものなどがくだけた口調で語られる。
 会社員時代に書いた、しかも下書きもなしにいきなり書き始めた第一作が江戸川乱歩賞の2次選考まで通ったということには驚かされる。「才能」としか言いようのないものがこの世には存在するのだ。
 「鳥人計画」が吉川英治文学新人賞の候補になったという出来事も興味深い。私はこの作品ではじめて東野圭吾のことを知った。いわゆる本格推理でない広義のミステリーを読んだのは初めてだった。テーマが私の好きなスポーツということもあり、すごく新鮮でワクワクしながら読んだことを覚えている。この本で彼のファンになり、だいたいの作品は読んだ。忘れられないと同時に、お勧めの小説である。
 最近の東野は、本格推理を離れて、もっと大きなテーマのミステリーを書くようになった。前述のとおり、私には彼の「鳥人計画」が面白かったので、本格推理より広義のミステリーのほうが好きである。したがって、このような変化は大歓迎だ。それだけ、彼が経験を積み、人間として成熟してきたということかもしれない。成熟したからこそ、人間の悪意や加害者の家族について考えるようになり、視野が広がってきて、より深みのある作品を書けるようになったのだろう。
 しかし、文学賞落選記録15回といえば相当な数である。才能のある彼でさえ、直木賞を取るのにデビューから20年ぐらいかかっているのだ。それに比べれば、私が今目指している英検一級などは大したことはない、努力すれば必ず取れるのだ、と励まされた気分になった。これからも彼の活躍を祈りたい。