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戦前にも色々な人がいて、多様な現実があった。
では戦前が明るかったかというと、やはり違うだろう。
時代の暗部に真剣に向き合った人にとっては、やはり暗いの時代だったのである。
ただ、多くの庶民はあまり深く考えなかった。
だからこそ、戦争に向かう動きを止められなかったのである。
この本から知り得ることは、そういうことだ。
一つ間違えると歴史を読み違えるから、要注意。
ただ本人も書いていたようにコラムは言葉を削りすぎてよくわからない場合すらあった。
本書はインタビュー形式でかねてから力説されていた、
戦前は断じて暗黒時代ではなかった、
ということについて、夏彦氏にしては珍しく多くの言葉で語られている。
インタビュアーの方は「室内」の工作社の社員で現代若者の代表という位置づけのようだが、
決して平均的な若者ではなく、むしろかなりの才媛であり、
夏彦翁を向こうにまわして丁々発止とは行かないが、機転の利いた受けがみられる。
戦前というテーマは硬いのだが、中身は民俗的なことであり、
上記のようなやりとりもあることから楽しんで読むことができた。
写真コラムの後に読まれると良いかと思う。
という現代にとって深刻な問題をあっさりと言ってみたり、
本質的発言が多かった。
雑談形式ということもあり、脱線に次ぐ脱線。
これもまたおもしろいのだが。。。また辛口。
かなりスパイシー。例えば、
戦前も戦後も大衆はイナゴの大群同様、欲してもいない女に参政権は
不要(責任ある壮年がもつべき)、見巧者の不在で映画は滅びた、
現代小説は死んだ、原水爆禁止などは世迷い言など言いたい放題。
しかし納得。
で、著者は大正生まれが原因なのか、昨今の若者の漢字知らずを
浮き彫りにしたいのか(笑)、なかなか意味の捉えにくい漢字が
多かった。例えば陋巷、鼓腹撃壌、嫋々たる、独参湯、粗略、
童蒙、束脩、偉丈夫などである。久々に辞書を何回も引くことに
なり、勉強になった(笑)。
戦後日教組的教育を受けてきた方であろうが、そうでなかろうが
リアルな戦前を知るにはよい本だと思う。
戦前は金持ちがいた。中位がいた、貧乏人がいた、乞食がいた。
フェロモンあふれる牛屋の姐さんがいた。
候文は書き手と読み手の間に一定の距離があり、恋文さえ他人が読むに値した。
文語文には千年の歴史があり洗練されているが、口語文はようやく百年でまだ洗練されていない。
西洋の古典を自分のものにすれば西洋人になれると思って以来、日本人は尊敬されなくなった。
氏の話しは知らないことばかりでおもしろく読めたが、同時に恥かしながら理解出来ないことも多い。
「戦前」を知らない自分が愚かしく思えてならない。
戦後に急膨張した左翼勢力が「戦前は暗黒であった」と日本人を洗脳してしまったのですが、山本翁は軽妙洒脱にこれを笑い飛ばします。
私はこの本で『大正デモクラシー』に対しての認識がガラリと変わりました。
今あるもののほとんどは戦前すでに存在した。
明治維新以後、近代化をひた走った日本が取りこぼしてしまったものとは何か。
また相方の女性社員も絶妙。是非読んでください。
なお、この企画の続編に『百年分を一時間で』があります。こちらも読みたいですね。

