わたしのグランパ (文春文庫)
作者 筒井 康隆
価格 440 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2002/06
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■読者の評価     おすすめ度平均

筒井康隆らしからぬわかりやすさ。ほのぼのとした味があり、胸に沁みる余韻の残る作品       おすすめ度
筒井康隆は、基本的には、簡潔な文体の作家だと思うのだが、文体に独特のクセがあるため、簡潔明瞭とはいい難く、読みにくいところのある作家であり、ときには、一般人の理解を越えた作品を書く人でもある。 

そんな筒井康隆が、断筆宣言を経て、執筆再開後に書いたのが、この作品であり、この作品は、正真正銘、簡潔明瞭で、本当に読みやすいというだけでなく、ほのぼのとした味があり、胸に沁みる余韻の残る作品に仕上がっている。文体、ストーリーとも、筒井康隆らしからぬと思えるほどの、このストレートなわかりやすさは、これがジュブナイル小説であるということが最大の理由ではあるのだろうが、断筆宣言を経て、歳も取り、何か、心境の変化でもあったのだろうかと思わせるところもある。こうした作品は、もしかしたら、生粋の筒井康隆ファンからしてみると、「こんな毒のない小説は、筒井康隆ではない」と思ってしまうところがあるのかもしれないが、私のような、しばしば、筒井康隆の文体や作品のわかりにくさ、取っ付きにくさに共感できないでいた一般の小説ファンからすると、筒井康隆が、若いときからこのような作品を書いていたら、もっともっと一般受けする作家になっていたのではないかとも思うのだ。

この文庫本に一つだけ注文を付けるとしたら、サイズの大きな文字でもわずか全147ページにしかならないこの作品は、本来であれば、他の作品と組み合わせて文庫本とすべきような完全な中編作であり、文庫本としてはあまりに極薄で、割高感があるということくらいだろうか。


まあ、悪くないけど・・・       おすすめ度
少年少女向けだな、こりゃ・・
ドラマ化を意識して書かれている気もするし。
(最近、こういうの多過ぎ)

キーワード
下町、ムショ帰りの爺さん、女の子、暴力団


筒井のしたり顔が想像できるな〜       おすすめ度
かわいい女の子とおじいちゃんが主役の家庭と学校を舞台にした話だから、いつもより筒井康隆の毒が意識的に抑えられてるような気がします。でもやっぱり筒井は筒井、ところどころで筒井のざまあみろといわんばかりのブラックなユーモアが出てきます。
話自体が短いし、非常に簡潔なので筒井を読んだことがない人に勧めやすい作品だと思います。


格好いいじいさん       おすすめ度
こんなじんさんになりたいと本気で心に誓った私はおバカさんでしょうか?でも、そうなんだもん。菅原文太と石原さとみの主演で映画化されDVDも出ているのでそれも観てみたいが、相変わらず邦画のDVDは高いなあ。映画を観た方は原作もどうぞ。


おじいちゃまじゃない!       おすすめ度
 五代珠子が父の日記帳に「父は囹圄の人」と言う単語を見つけたときは、小学五年生だった。物心がついたときから、「祖父は南米にいる」だの「東南アジアだ」だのとはぐらかされてきたが、その祖父がついに五代家に帰って来る時が来た。それも、刑務所から、つまり、前科持ちとして!!

 家族からは恐れられていたグランパ、五代謙三だが、町の人からは「ゴダケンさん」と呼ばれ、好かれて頼りにされている。いわゆる江戸っ子。グランパの生きっぷりに、不良生徒達が惹かれていくのだ。

 グランパはいつも珠子を一人前に扱いつつ、けれども孫への相当な可愛がりっぷり、溺愛ッぷりがほほえましい。一昔前の、現代にはもう少なくなってしまった、任侠の、男、漢。そんなグランパのやり口には、すっとする。よく冷えた炭酸飲料を一気飲みしたような。