海鳴り〈上〉 (文春文庫)
作者 藤沢 周平
価格 570 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 1987/10
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■読者の評価     おすすめ度平均

そう、来ましたか       おすすめ度
藤沢周平氏にしては、珍しい町人ものの上下2冊に渡る長編で、40歳も半ばを超え、江戸時代にあっては、老境に達したといえる紙問屋の主人公の、商売や家庭、恋を巡る物語です。
老境の物語ということもあり、最初の歩みが遅く、じらされますが、しばらく詠み進めるうちに、商売での大店との争い、一人息子の事件、そして、物語のクライマックスともいえる恋も、それぞれが進展を見せ始め、一気に読み進んでしまうことになります。
結局、人間にとって幸せとは何なんだろう、商売の成功?家庭円満?等々を作者なりに問うた作品のように思われます。その意味で、主人公が迎えるクライマックスは、幸せだったんだろうなあと思わせます。
ただ、他の氏の作品に比べると、レベル的には、少し落ちる気がしますので、星4つとさせて頂きました。ただ、元々、レベルの高い氏の著作だけに、普通に行けば、5つにしてもよいのかも知れませんが。


こういう結末しかなかったか       おすすめ度
人生が今よりもっと短い時代の、40代はもうそこに人生の終焉がみえる。
そんな思いの主人公は、髪に白いものを見つけ、体の衰え気力の萎えを感じながら、一代で髪問屋を築き、それなりの充実感を味わっている。。。
はずなのに。

うまくはいかないもんだなぁ。人生というのは。
順調そうな商売も、老舗大手にさまざまな圧力を加えられ。
うちでは家庭には、すきま風。放蕩息子には泣かされ、すきま風が吹いている。

そんな主人公の、商売と、家庭と、そして初めて得た二人といない愛しい人との出会い、のドラマ。
これらが錯綜とし、武士の出ない時代物で、かつなかなかスリリングでドラマティックです。

一気に読んでしまいますね。
ただ、いわば何もかもがうまく落ち着いて、あげくの選択肢は、こうだったか。
最後の結末は、確かにこれしかないのかもしれないけど。。。
そうだよなぁ。
ある意味これはまっことハッピーエンドとも言えるが、果たしてこういう結末しかなかった。のかな。
この結末の、あとの世界も、また、一つの小説になるな。

面白くも、また、後々に引く話でもありました。


リアルな?中年の恋       おすすめ度
町人物の一冊です。
主人公新兵衛の夫婦仲の悪さがリアルというか、
自分の経験とオーバーラップしてしまいました。

現実にはおこうさんのような女性はなかなか現れませんがね。
ま、そこが小説の楽しみであります。
おこうと新兵衛が不倫に落ちていく描写も露骨でなくとも興奮させます。

紙問屋の商売の競争に関する部分も、スリリングです。

家庭に問題を抱え、商売に打ち込んでいる男性は必読!泣かせます。