発熱〈上〉 (文春文庫)
作者 辻原 登
価格 680 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2005/03
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■読者の評価     おすすめ度平均

実力作家の傍流作品?       おすすめ度
日本経済新聞の掲載された実力派作家の現代小説。日経の読者を意識した金融業界の裏事情や、政界、官僚との絡みなどは図式的・表面的で決してこの作家の本領が発揮されたとは思えない。物語の面白さと現代小説の「語り」のスタイルを両立させる作家の手腕は、後退している。
主人公の人物設定は、いかにもで出自とその後の「育ち」に絡んでくる年上の女性とのエピソードはあまりに通俗的だ。作家みずからエンターテインメントを謳って恥じないのならば、「左様ですか」というほかないが、『ジャスミン』などの力作をものしてきた大家だけに残念でならない。やはり経済新聞での連載という制約が大きいのか。
<文学の最先端で物語を語る>ことのできる数少ない作家であるだけに、以上は決して無いものねだりではないと思うが如何であろう。
とはいえ、件の年上女性の造形や、濡れ場の詩情は同じ新聞連載の渡辺淳一何某とはレヴェルが違う。『ジャスミン』の完成度には及ばないが。浅はかな経済新聞の範疇に収まらない作品を期待したい。