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■読者の評価
おすすめ度平均
人生の参考書 おすすめ度
この作品には夢がたくさん出てくる。夫の不倫発覚、妻である「わたし」には子供がいないが、不倫相手はその時すでに妊娠7ヶ月であったという衝撃的な出来事も、まるで夢の中のことのように淡々と回想されている。離婚後6年を経て、元夫婦は再会し、今度は不倫の関係となり、かつてよりも狂おしく愛し合う。男と女であり続けるには、夫婦でないほうがよいのだ。しかし、愛する人の子供を育てている新しい妻への複雑な想いは拭い切れない。「わたし」は「自分が離婚しなければ子供たちはうまく育たなかったかもしれない。だからわたしも彼から子供に続く生命の流れに一枚加わっているのだ。」と考える。最後は永遠の別れの兆しを匂わせて終わっているが、兆しのままで終わっているところがよい。現実的なテーマであるが、終始うつくしい夢でも見ているような作品に仕立てられている。宮本輝の「錦繍」の主人公が言うように「生きていることと死んでいることは同じかもしれない」とまでは達観できないが、「夫婦であることと夫婦でないことに、決定的違いはない」と思える作品。男女の深淵を描いた、人生の参考書となる小説のひとつ。

