冤罪者 (文春文庫)
作者 折原 一
価格 800 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2000/11
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■読者の評価     おすすめ度平均

折原マジックは何処に       おすすめ度
本作において、作者は本来の叙述トリックものに"冤罪"と言う社会性を加え、新境地を開こうとしたものと思われる。結局、「者」シリーズは四部作となった。

しかし、作者のデビューから付き合っており、作者のファンでもある私からするとトリックが全く物足りなかった。前半で語られる"冤罪者"に関するエピソードを額面通り受け取る読者はいないだろう。また、この冤罪者に対して救済活動をする女性が出てくるが、彼女の行動・心理状態が理解不能で付け焼き刃にしか感じなかった。ご都合主義的に登場させられたとしか思えない。後半、折原マジックらしきものが表面化してくるが、従来の枠組みを越えるものではなく、私の中では予定調和で終った。正直、作者が何処を読者に謎と思って欲しいのか分からない程だった。

社会性をプラスしたミステリの試みは本作では成功していないように思われる。


してやられたり。悲喜劇ジェットコースター!       おすすめ度
騙されます。騙されるとわかっていながら、見事に。

正直、話は重く、結末に向かうにつれ悲しさも増します。
しかし!
前半の冗漫な導入とはうって変わって、
サスペンスと読むにつれて二転三転する叙述の罠。
悲劇なのに、喜劇。そんな感覚にとらわれます。

相変わらずレビューを書きにくい作家さんですが、
とにかく、折原作品の中ではベスト5に入れられる秀作です。


ミステリー界に、また一つ驚きが       おすすめ度
見事にやられた。帯の解説を見て、よくあるデッドリミット物かと思い、読み始めたのだが、予想を裏切る、裏切る。
読み進めるうちに、全ての人物が怪しく思えてくる。ある意味反則な犯人とその動機。
そして、全てが終わったと思えた時に明かされるある人物の本性。
人間の執心、欲望は法をも超える恐ろしさを実感。
映画にしたら面白いだろうな。


ヤバい・・・ハマった・・・       おすすめ度
折原一作品は初体験。
私は始めて購入する作家の本は最初の数ページを試し読みして、その
文章のリズム感を確認する。小説を読むという行為は私にとって娯楽
だから、ここで違和感を感じる作家の本はレジに持っていかない。
この作品を試し読みした後、すぐレジに向った。

折原一の文章は情景描写・心理描写ともに秀逸で、この作品は三日で
読了した。

冒頭は冤罪を主題にした社会派ミステリとして始まり、ラブロマンス
(古っ!)、サイコパス、ストーカーと一気に展開するプロットに
は引き込まれる。
WEBサイトやMAILの使い方にも重要な意味づけがされていて感嘆した。
特に「なぜ電話でなくMAILなのか?」には正直驚いた。
なるほど、そうだよな〜〜〜〜〜〜

読了後、折原作品をまとめて4冊購入した。
もう試し読みは不要だ。



折原ワールド全開       おすすめ度
「冤罪」を厚かった作品で前半は極めて社会派な感じで進行。が、そのイメージは少しずつ崩れていき、最終的にはいつも通りの猟奇的な殺人、様々にぶれて行くキャラクターと折原ワールドが全開になっていく。最後は全く社会派なんて言えない内容。

人工的な世界観、トリックのための小説、なんていう感じはどうしてもしてしまうので好き嫌いは絶対に出る。その世界観を楽しめる、というのならばお勧め。