初夜 (文春文庫)
作者 林 真理子
価格 490 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2005/06/10
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■読者の評価     おすすめ度平均

世の中にあるという話       おすすめ度
 林真理子の作品はほとんど「こういうのあるな」と思わせるところに魅力があると思う。
表題作初夜は、現に田舎の小金もちの家で、自分を過剰評価している家にはあることなのでは
ないだろうかと思った。 見合いで「うちにはつりあっていないと」断り続けるうちに適齢期をすぎてしまい、いい縁談を逃してしまうというものだ。

 全体的に分かるなと思わせる林真理子のうまい文体で読者を本の世界へいざなってくれる。


なんとなくわかる       おすすめ度
初夜という題目からは、いまいちの内容であったが、
何篇かのなかには、この気持ち分かりますという編ががありました。
30代の女性が読むと気持ちが分かるのではないでしょうか。


これは怪談       おすすめ度
林真理子は意外に重くて緻密な長編も書ける作家だが、やはり真骨頂は短編にあると思う。この短編集は、よい。

実はこの短編集は怪談だ。40を過ぎた中年女性の胸のうち。ひとりひとりが抱える小さな悪意、打算、欺瞞、自己憐憫や自己陶酔が他のひとのそれとぶつかると何が起こるのか。結婚がどのように内側から腐っていくのか、それを余すところなく描かれたこの本は、女の会談本だと思う。





中年女性の悲哀が、よく描かれています       おすすめ度
11編の小編から成り立っています。その中の「初夜」という作品は、父親の情感がとてもよく描かれていました。他の作品は、恵まれた環境の主婦が、不倫に走ってゆく話が多く、実際に、こういった事実が多いのだろうなぁと思うと、なんだか、少しうら寂しい気持ちになってきました。全体的に、中年女性の心理や情感、哀感がよく描かれていて、同じ世代の者としては、なんだか、切ない気持ちになりました。


作者の感性の豊かさにほれぼれ       おすすめ度
表題作は、両親の自尊心の高さも手伝って婚期を逃した中年の娘が、子宮摘出手術を受けることになり、その直前の父親の心の揺れを描いた作品です。
いつもながらに小道具の使い方の妙に惚れ惚れさせられます。
父娘の二人の慎ましい暮らしの中で、突然娘を襲う子宮摘出の現実。入院直前の気だるい身体で、父と自分のために素麺を茹でる娘。精神的・体力的に余裕のない時の、父と二人きりの食卓でさえ娘は手を抜かず、薬味を五種類も用意します。
そんな母親譲りの律儀さや慎ましさを父親に「薄幸な女」と評させながら、その根底に、娘の幸せな結婚を望んでいたはずの父親のやるせなさや、娘への愛情をにじませるあたり、作者の感性の豊かさに唸らされ、味わい深い作品となっています。