風味絶佳 (文春文庫)
作者 山田 詠美
価格 500 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2008/05/09
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■読者の評価     おすすめ度平均

エゴの魅力       おすすめ度
久しぶりに山田詠美を読んだ。この人の作品はS的な魅力…というには健全すぎる。なんというか動物的なエロチックさ、を作品に盛り込み、惹き付けられるなって思う。
肉体労働者達の匂い立つような体、荒々しい言葉遣い、自己中心的で、シンプルな結論に到る思考回路、暴力等は時として、人を本能の部分で惹きつける。。エロチック、だなぁって思った。
カッコイイというより、エロイなぁって面白かった。エロカッコイイが一番ぴったり来る?
文章が綺麗で、読んでいる時はその独特の雰囲気に浸れます。


読ませるが、狙いすぎ       おすすめ度
山田詠美の作品には、生理的に受け付けないものもあるが、
これは、うまいな、手練だなと思いながら読みすすめた。

が、狙いすぎ。心理描写が、思わせぶり。
「読ませる」短編、という評価を、最初から意識して書いたと
思わせる。何より、彼女の真骨頂(?)である性的描写が、
ヘンにまわりくどい。最近、こうしたまわりくどい文章を、
うまいと評する風潮がありますね。

登場する男性たちは皆「肉体労働者」であるが、
これも、「肉体労働している男はこうだろう」という決め付けが画一的。

エリートの夫に蔑まれ、息の詰まるような毎日を送っていた女性が
ゴミ収集業の男性のもとに走って、やっと生きてる実感を得る、
みたいな話は、どう考えても陳腐でしょう。げんなり。

いわゆる「頭脳労働」じゃない「肉体」使った仕事してる「筋骨隆々」の
「男らしい」男のもとにいけば、「女の幸せ」が手に入れられる、
なんて、山田詠美の物の見方って、その程度だったのか。
こりゃ林真理子以下だな、とがっかりしているところです。


山田の真骨頂       おすすめ度
傑作。恋愛を情感たっぷりに描く中年の女性作家にはどうしてもイタさが伴うものだが、彼女はやはり別格だと再確認。「黒くて」「外国かぶれで」「作家本人にまつわるイメージが強く想起される」山田作品ではなく、「蝶々の纏足」「風葬の教室」、そして本作と、純日本的な舞台で純日本的な関係性や細やかな感情を描く短編にこそ、彼女の真骨頂があるように思う。

狙いすぎて/盛り込みすぎて読者が興ざめする一歩手前、という、感性と表現力を武器にする作家が求めてやまないスイートスポットに、研磨し尽くされた繊細な比喩が次々と決まる。本作が醸(かも)す、単純に甘すぎず、直截(ちょくさい)に苦くもない、その中間に位置する玄妙な味わいは、タイトルに恥じぬもの。

大御所の作品の常として、刊行当時には多数の媒体に取り上げられ、早くに映像化もされたが、年月を経て、そうした「商品」としての余計な包装が全て取り払われてなお、強く薫る文学としての中身がある。


ありそうでない6つの恋       おすすめ度
ありそでないであろう6つの恋の話。でもこれが「物語り」というものである。現実にあるであろう、話ばかり読まされても仕方が無い。なんてったって現実逃避が必要ですから。その現実逃避も本書のように、現実からチョットずれているくらいのほうが良い。あまりに極端でもこちらの心が物語りについていけない。
本作にでてくる女性は少し皆ずれている。そのズレさ加減が絶妙なので僕たちは彼女達に心奪われる。一方、出てくる男達は皆現実を背負っている。現実そのものである。現実の男達と非現実な女達。もー男の理想の展開じゃないですか。男だったら必読ですね。しかしながらこんな物語を女性が書いたのが驚き。山田さんは、巷に溢れる作家とは筆力が違いますね。


やっぱり、EIMY       おすすめ度
ズバリとした切り口、ハッキリした色。

これでこそ、山田詠美。AtoZからこっち、試験的に表現の上で何か試したいことがあるような山田詠美さん。

AtoZの時には、まだ不完全だったような印象を受けましたが、風味絶佳では抜群ですね。1つ1つのお話の最後がブツ切れのような状態になっていて、余韻と言うか、いい意味でも悪い意味でも、読み手に印象を残します。