グロテスク〈上〉 (文春文庫)
作者 桐野 夏生
価格 650 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2006/09
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■読者の評価     おすすめ度平均

桐野さんがすごい       おすすめ度
読んでいてむかむかしてくるような意地悪な表現が度々ある。
何もそこまで・・・。と言いたくたくなるような悪意。
裕福な人に対する表現は本当にあてはまり、今まで出会った「裕福らしい」人は
そうそう、こういう事を平気でする。とうなずき、思い出してはムカムカする。
昨今、格差社会と言われているが見えない格差社会は前からある。

美少女の描写は大抵、読んで綺麗な様子を想像するが、
ユリコは綺麗というよりも気持ち悪いと読者に感じさせるのも悪意。
こんなに意地悪な読んでムカムカさせられる小説を書ける桐野さんがすごい。
下巻も楽しみだ。


グロテスクな生き物       おすすめ度
自分も含めてヒトってグロテスクな生き物ですよね〜


生物学的にハードなルイ=フェルディナン・セリーヌのような大傑作!!       おすすめ度
繊細な"わたし"が自己陶酔して苦悩ごっこする似非文学ではなくて、
ルイ=フェルディナン・セリーヌ に匹敵する真実の文学!
無駄な苦悩、無駄な努力をしたくない人は必読。
努力が必ず報われると信じている世間知らずの人は、
挫折する前にこれを読んで世の中の真実に気付いて下さい。
語り手の"わたし"は翻訳家に成る夢が破れた37歳の処女のフリーター。
超美少女でモテモテの妹と、
名門女子高時代の同級生達の数奇な人生が彼女によって語られる。
彼女が毒舌で語る美少女や天才少女のエピソードがメインだが、
彼女に語られた人物の手記(彼女に言わせると嘘ばかり)も挿入され、
何が事実なのかを推理するミステリとしての楽しみもあるが、
語り手が捏造してるとしても世の中の真実を訴えた素晴しい文学である。
語り手の"わたし"が、『ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語』 で
有名になったバージェス動物群のファンなのが素晴しい。
ルイ=フェルディナン・セリーヌ が訴えた人生の無意味さを
生物進化論で補強しようとする素晴しい知的興奮に溢れる本。
日本の女流作家にこんな知的レベルの高い人がいたとは驚きだ!
友人も恋人もいなくても楽しく生きていけることを教えてくれる
生命体のバイブル。
突然変異して生き残ったものが、
生命体として進化したとされる勝利者である。
ハルキゲニアのような素晴しい人生になりますように…。



過剰であるということ・・グロテスク       おすすめ度
(上下巻通した感想を書きます)

過剰な美貌と性欲のユリコ、過剰な頭脳のミツル、過剰な努力と金銭欲の和恵・・
おんなは、いや人間というものは、放っておくとつねに過剰なものを追い求めるものであるらしい。相対化した価値観しかない世界では、他者と比較することによってしか自己の存在意義を見出すことができない。過剰という鎧をまとうことによってはじめて安心できるのだ、そしてこの価値観は、まさに現代日本そのものである。
わたしたちは過剰な栄養摂取の結果、身体に過剰に(グロテスクに)蓄えられた脂肪によって命を縮めるのだ(いわゆるメタボ)。
過剰に対峙する価値観は「中庸」もしくは「足るを知る」という哲学であるが、一見ふつうの社会生活を送っているかに見える4人の主人公たちの家族もまた実は「足るを知らない」怪物なのである。いや、グロテスクなのはこの小説の登場人物だけでなく、まさにわれわれ普通の日本人そのものなのだ、ここにこの小説の普遍性があると感じた。

信濃追分で隠遁する木島の父、邪宗に染まり服役したミツルの二人だけがかろうじて「足るを知って」いるようだ。

古典的な「美徳の不幸」または「悪徳の栄え」byサド侯爵を想起してしまった。


すごすぎる       おすすめ度
東電OL殺人事件をモチーフに書かれた作品であるが、よくもまあこんなすごい話に仕立て上げたものだと感心してしまう。
「グロテスク」と言う題のとおり、誰一人として「良い人」が出てこない、と言って「悪人」でもない。
誰もが持っている、心の中の醜い部分、人を差別する気持ち、こんなものがどろどろと描かれている。
少しの嫌悪感を持ちながらも、本を読むことを止められない。
これはそんな本です。

エリートOLから街娼となり殺される女性は事件の被害者をモチーフにしていますが、もう一人とんでもない美貌を持って生まれた
「わたし」の妹、「ユリコ」は宮沢りえのイメージが私にはあります。
ハーフでお母さんには似ても似つかない完璧な美貌。

りえママごめんなさい(笑)