グロテスク〈下〉 (文春文庫)
作者 桐野 夏生
価格 680 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2006/09
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■読者の評価     おすすめ度平均

グロテスクさ       おすすめ度
それぞれが、状況を告白する文章を淡々とつづっているだけなのだが、
まるでホラー映画で人間がドロドロとゾンビ化していくような不気味さがあった。
「他人からどうみられるかに囚われる」ことにこだわりすぎた結果
幸せになれなかった人たち。
「わたし」の語りで始まった物語だが、実は一番奇妙で滑稽だったのは
ユリコでも、和恵でもない「わたし」なのではないかと本人は気づくことはあるのだろうか。
「わたし」の悪意は物語がすすむにつれエスカレートし、不快などころか
子気味よささえあった。

本を閉じ、他人からどうみられるかに囚われず生きたいものだと床についた。

夢の中で幼なじみの親にスーパーで偶然合い「今何をしているの?」と聞かれ、
必死に頭の中で「自分は良い仕事をし、努力している」と上手く伝えようと
する自分がいた。


グロテスク以外の何ものでもない       おすすめ度
普段すましている女の友人にこの本を突きつけてやりたいと思う私の中の黒いものが確かに存在します。
それにしても女は、グロイ。
男性はわからないんだろうなぁ


誰もが自分の人生を振り返る       おすすめ度
東電OL殺人事件をモチーフに書かれた作品であるが、そんなことはすぐに忘れて作者の作った物語に引き込まれてしまう。
「グロテスク」と言う題そのもののように読む人を不快な気持ちにさせつつも、読むことを止めさせない。

登場人物が皆某かのコンプレックスを抱えていて、誰もが持っている自己防衛本能からくる小さな悪意(意地悪、苛めと言っても良いか)を少女時代に持ってしまった。
そこから逃れることが出来ないまま大人になってそれぞれが悲劇を迎えた。

いや、悲劇なのか、それぞれの苦しみから解放されたのかも分からなくなってしまうほどものすごい人生が描かれている。

最後に登場人物の姉(であり主要人物)とその息子が残されるが、彼女たちの人生もどうなっていくのか読み手に分かってしまうようで読み終わっても恐ろしい物語が続くように思われる。

何かの小説で「淫売は三代祟る」と言う記述があったが、「悪意はずっと引き継がれる」と思ってしまった。

とにかく、お薦めの1冊(2冊?)です。


孤独と心の闇       おすすめ度
上下巻共に息もつかせぬ展開で最後まで緊張感が持続します。
誰もが持つ心の闇をえぐるような鋭さが強烈です。
昼ドラをも凌ぐ激しい愛憎劇を覗いてみてはいかがでしょうか。


最後が短絡的過ぎ       おすすめ度
最後、今まで周囲の者に対して常に批判的な態度をとっていた主人公がいとも簡単に今まで批判していた人たちと同じ道を進んでいくあたりでの心理的変化の説明がなさ過ぎるというか、短絡的過ぎて主人公の言動に全然共感できなかった。それに主人公は、妹が美人ということでそれに自分の人生が振り回されているといっているけれども美人の規定も人それぞれだから単に美人と書かれてもぴんときませんでした。あまりにも批判的な主人公の表現はわざとらしいし、くどくどしくて好きになれませんでした。どうして常に他人を批判するのか、そんなに批判的になっても結局は批判している自分が一番いやになったりむなしくなるのに、なんか頭が悪いなあと思って、批判的にしか考えられない主人公が、かわいそうな人だと思いました。他の人たちの考えも結構過激な部分が多いし、日常の感情からは跳躍しすぎのような気がしてちょっとついていけませんでした。結局住む世界や時代が違いすぎるということなのでしょうか?過激すぎる内容についていけず共感はできませんでしたが、部分部分での描写では共感できる部分もありました。