検察捜査 (講談社文庫)
作者 中嶋 博行
価格 650 円
出版社名 講談社
出版年月 1997/07
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    第40回 江戸川乱歩賞   受賞
横浜の閑静な高級住宅街で、大物弁護士・西垣文雄が惨殺された。横浜地検の美人検察官・岩崎紀美子は、捜査を進めるほど、事件の裏に大きな闇を感じる。日弁連と検察庁、警察庁そして県警の確執…。現役弁護士作家が法曹界のタブーを鋭くえぐった、第40回江戸川乱歩賞受賞の傑作リーガル・サスペンス。

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■読者の評価     おすすめ度平均

法曹界の裏側がのぞけるも、ミステリーとしてはどうか       おすすめ度
検察組織や現状を垣間見られるほか、日弁連など実在の組織についても現役弁護士ならではの視点で事情が描かれている。その部分は一般にはわからないことなので、かなりおもしろく読めた。ただ、肝心の殺人事件については、殺人現場の描写はショッキングだけれど、動機や背景などについては弱い感じがする。最終的な真相も、あまりにも「ありえない」領域に入っており、それを裏付けるには必然性が薄い気がしてならない。


検察幹部って、こんなに愚か者なの?       おすすめ度
 本作は第40回江戸川乱歩賞受賞作です。江戸川乱歩賞は推理作家の登竜門として多くの人気作家を輩出しており、受賞作の質も高く文庫で読む際もハズレが少ないので読む機会が多い賞です。乱歩賞の選評では、「検察の問題点を中心とする法曹界の問題点がわかりやすく、興味深く描かれている」(阿刀田高氏)とあり、現役弁護士のデビュー作として評価されています。

 それ故読むほうとしては自然と点が辛くなってしまいます。確かに私たちがあまり知らない法曹界の内幕を、物語を通して語っている点は評価できます。しかし内容的に業界暴露話的な部分が下駄を履かせている面も否定できません。

 では何が足りないのか?登場人物がやや、ステレオタイプに描かれて人物描写にもう少し深みが欲しいところでした。犯人の動機についても説得力に欠けるし、勧善懲悪的な単純さが司法に携わる人物にそぐわないと感じたのは、弁護士や検事に対する私の幻想なのでしょうか。あまりにも愚か者が多すぎました。

 海外に比べ、リーガルミステリーが貧弱なのは、ドラマの起き辛い日本の司法制度にも原因があるのかもしれません。その点でストーリーとしての水準はクリアしているので、今後この分野の発展を期待して作者にはがんばってもらいたいと思いました。


法曹界の内部事情が良く分かります。       おすすめ度
主人公は、2年生女性検察官「岩崎検事」。

日弁連の次期会長候補だった大物弁護士の惨殺事件を捜査する内に、日弁連の内情が明らかになり、更に検察トップが練っている謀議に利用されている事に気が付きます。

法曹界の内部事情が良く説明されている部分が多々あり、さすが現役弁護士という感じがします。

後半の謎解きの部分の設定に若干の無理を感じますが、全体としては良く纏まっており楽しめます。

他の作品も是非読んでみたいと思います。


面白い!       おすすめ度
中嶋氏の司法三部作中最も面白いのが本作だと思う。
抱負かつ正確な実務知識が心地よい。
ネタバレしないようにぼかして書くが、刑事訴訟法の学説をあのような形で使った点は、一法学徒として興奮を覚えた。
検察志望者であふれかえる現在の法曹志望者からみると、本書の扱っている状況はやや信じがたい気さえする。
時代の流れというものか。


現役弁護士兼作家によるリーガルサスペンス       おすすめ度
私はこの本は、平成6年の単行本発刊当時書店でぱらぱらめくったものの、極端な設定に違和感があったため購入しませんでした。
今回初めて全部読んだのですが、司法における検察、弁護士、裁判所の三者の体質や、検察と警察の関係などがよく表現されており、大変楽しめました。

検察官の数の絶対的不足を背景に話は進んで行きます。この点では、平成6年当時ならまだしも、今ではあまり現実味がないかもしれません。しかし、全体的な描写の正確さという点では、さすが現役弁護士だけあって信用がおけるものだろうと思います。
その辺は安心して読める本です。