猫は知っていた・濡れた心―江戸川乱歩賞全集〈2〉 (講談社文庫)
作者 仁木 悦子   多岐川 恭
価格 1,250 円
出版社名 講談社
出版年月 1998/09
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    第3回 江戸川乱歩賞   受賞
    第4回 江戸川乱歩賞   受賞
烈しく愛しあう典子と寿利。少女らの愛をあざ笑うかのように、重くのしかかる殺人事件、その裏には、いかなる悪魔的意思がひそんでいるのか?澄明な美文で、清らかな同性愛をうたいあげ、第四回江戸川乱歩賞に輝いた『濡れた心』。

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■読者の評価     おすすめ度平均

乱歩賞黎明期の2作       おすすめ度
【猫は知っていた】
乱歩賞が長編推理小説の公募になってから最初の受賞作です。
作者の仁木悦子さんは幼時から病気のため学校に行かず、兄の
雄太郎氏による家庭教育を受けて育ちました。

この作品は、作者と同姓同名の、仁木雄太郎・悦子兄妹が探偵役
として登場します。病身の作者を全く感じさせず、物語の中で実に
生き生きとした活躍を見せます。
扱っているのは殺人事件ですが、戦前の、おどろおどろした探偵
小説とは一線を隔する、爽やかな作品です。

【濡れた心】
女子高生の同性愛をテーマとした異色作です。
異色なのはテーマだけにとどまらない。
全編を通して、登場人物たちの日記と、刑事の手記だけで物語を進める
という構成。登場人物が全員日記を書いてるなんて、昔の人はそんなに
日記が好きだったのかと思ってしまった。
凝った構成だが、会話の羅列が続くなど、日記としてはいささか不自然。

銃の扱いにも疑問を感じた。
初めて銃を撃った人が、離れた場所から一発で被害者に命中させる
なんて事は、まず不可能です。
刑事の銃や弾丸の管理も杜撰すぎます。
寄り添って立っている二人の人物に発砲し、片方を射殺するなんて
事もしません。普通は誤射を恐れて発砲をためらいます。

この作品は、あえて推理小説にする必要も無かったのではないかとも
思います。女子高生の同性愛というだけでも、それなりに読める物語に
なったのではないでしょうか。
ただ、こんな話を、いい年したおっさんがどんな顔をして書いたのかと
想像してしまうと可笑しいですね。